研究課題/領域番号 |
23K16776
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上田 陽子 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (80794809)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | GPR142 / トリプトファン |
研究開始時の研究の概要 |
トリプトファン(Trp)はその代謝物が免疫抑制に働き、近年腫瘍免疫や感染症の分野で非常に注目されている。これまでに炎症性サイトカインをマウス胃から樹立した細胞株に添加したところGPR142発現が上昇するという知見を得たことから、GPR142シグナルがキヌレニン系路の律速酵素であるIDO1(Indoleamine 2,3-dioxygenase1)活性に何らかの影響を及ぼし、免疫調節に関与するという仮説を立てた。GPR142発現分布、細胞でのGPR142及びIDO1発現調節機構 、炎症誘導下のGPR142KOマウスにおける表現型の変化 に着目してTrp感知シグナルによる免疫調節機構を解明する。
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研究実績の概要 |
必須アミノ酸であるトリプトファン(Trp)は、その代謝物が免疫抑制に働き、近年、腫瘍免疫や感染症の分野で非常に注目されている。GPR142はクラスAに属するG蛋白共役型受容体(GPCR)であり、長らくオーファン受容体であったが、近年Trpが最も強いリガンドであると報告された。GPR142はマウスにおいては、膵臓、胃をはじめ消化管に多く分布していることが報告されているが、通常 その発現量が非常に低いことから、組織内での発現局在については十分に明らかにされていない。膵臓及び消化管においてどの細胞に発現が高値であるかを確認することにより、GPR142の病態生理学的意義を解明する一助とすべく、免疫染色を行った。市販の抗体や、GPR142膜外ドメインの配列ペプチドを用いた自作の抗体を用いてマウス及びヒトの組織切片における免疫染色を複数回試みたが有用な抗GPR142抗体を見い出せなかった。さらに、高感度in situ hybridyzation法を用いてマウスの消化管におけるGPR142の発現局在の確認を試みたが、非特異的な染まりが強く染色条件を検討中である。これまでに胃のグレリン細胞由来のMGN3-1細胞株においてはNecrosis Factorα(TNFα)やインターロイキン6(IL-6)などの炎症性サイトカインの添加にてGPR142発現が上昇することを既に確認しており、膵β細胞由来のMIN6細胞株、及び 免疫という観点でマウスマクロファージ由来のRaw264.7細胞株を用いて上記の炎症性サイトカイン添加にて発現調節が見られるかどうかを解析したところ、MIN6細胞株においてはGPR142発現上昇を確認できず、Raw264.7細胞株においては、GPR142発現が非常に低いという結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は初年度に高感度in situ hybridyzation法を用いてマウスの消化管におけるGPR142の発現局在の確認を試みること、また各種細胞株における上記薬剤添加実験、及びマウス胃の初代培養における薬剤添加実験を行うこととしていたが、高感度in situ hybridyzation法を用いた染色の過程において、予想外にもポジティブコントロールの染色不良が生じたため、染色条件や病理組織切片の作製、保存条件の再検討に時間を要した。また、申請者の産休取得のために研究活動を一時休止せざるを得ず、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記に記載した高感度in situ hybridyzation法を用いたマウスの消化管におけるGPR142の発現局在の確認についての方策として、組織のホルマリン固定条件を検討し、また、RNAの品質を保つために病理組織切片は一定期間内にアッセイするなどの条件を整える。大きく研究計画は特に変更を予定していないが、研究を遂行するうえでの課題については、予想外にもマウスマクロファージ由来のRaw264.7細胞株にて比較的GPR142発現が低かったため、マウスの腹腔内マクロファージ初代培養にて薬剤添加実験を行う必要があると考える。
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