研究課題/領域番号 |
23K16796
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 生弥 岡山大学, 保健学域, 助教 (10975361)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | アテローム性動脈硬化症 / エクソソーム / 細胞外小胞 / 間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
アテローム性動脈硬化症は動脈壁にプラークが形成される慢性炎症性疾患であり、その患者数は増加の一途をたどっている。間葉系幹細胞 (MSC) から放出されるエクソソームは炎症抑制作用や組織修復能を有することが分かっており、さらにサイトカイン等でプレコンディショニングしたMSCはより治療効果の高いエクソソームを分泌することが報告されている。本研究では、いくつかのプレコンディショニングにより得られたMSC由来エクソソームのアテローム性動脈硬化症に対する治療効果を検証する。
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研究実績の概要 |
アテローム性動脈硬化症は動脈内膜にプラークが形成される慢性炎症性疾患である。現在選択される血圧や脂質のコントロールといった治療法ではプラークを消失させることができないため、新たな治療法の開発が急務である。近年、間葉系幹細胞(MSC)を炎症性サイトカイン等でプレコンディショニングすると、細胞から産生される小胞(エクソソーム)の抗炎症効果が飛躍的に高まることが報告されている。本研究では、プレコンディショニングしたMSCから分泌されるエクソソームの特性を調査し、最適なプレコンディショニング条件を検討することと、アテローム性動脈硬化症の新規治療戦略となりうるか検証することを目的とした。 脂肪組織由来MSC(ASC)を炎症性サイトカインであるインターフェロン-γ(IFN-γ)でプレコンディショニングを行い、超遠心法にてエクソソームを回収した。ナノ粒子トラッキング解析とウエスタンブロッティングにより、プレコンディショニングの有無に関係なくエクソソームの性質が変わらないこと、蛍光免疫染色よりヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にエクソソームが取り込まれる様子を明らかにした。また、HUVECをリポポリサッカライド(LPS)で刺激したところ、アテローム性動脈硬化症の進展に関与する細胞接着因子であるICAM-1や炎症指標であるCOX2のmRNA発現量が増加したことから、LPS刺激したHUVECで内皮機能障害を評価できることが判明した 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASCをIFN-γでプレコンディショニングする場合としない場合に分けて培養上清を回収し、超遠心法でエクソソームを回収することに成功した。回収したエクソソームの解析を順次進めた結果、直径約120nm程度でエクソソームマーカーであるCD9とCD63が陽性であることから、生成回収したものは目的通りエクソソームであることが裏付けられ、実験条件の適正化が完了した。さらに、電子顕微鏡により脂質二重膜も観察されたことから、超遠心法で精製されたエクソソームの品質が十分であることが裏付けられた。また、HUVECにLPS刺激を加えることでアテローム性動脈硬化症で生じる内皮機能障害を誘導することが確認でき次の実験に進む準備が完了したことから、概ね順調に実験が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はIFN-γでプレコンディショニングしたASC由来エクソソームの抗動脈硬化効果を確認する。具体的には、LPSで刺激したHUVECにエクソソーム治療を行い、アテローム性動脈硬化症の進行に関与する細胞接着因子や炎症因子のmRNAやタンパク発現量を評価する。HUVECやマクロファージを酸化LDLで刺激し、よりアテローム性動脈硬化症の病態を呈するin vitroモデルを作成する。また、IFN-γだけでなくステロイド薬によるASCのプレコンディショニングを行い、エクソソームの治療効果を比較する。
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