研究課題/領域番号 |
23K16804
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
木村 篤史 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 兼任講師 (10840259)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / オリゴマー / チアミン / Voxel-based morphometry / SBM / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
チアミンは、脳エネルギー代謝の中心的な役割を持つビタミンで、コストや安全性に優れるため脳神経領域のみならず、広く臨床的に用いられてきた。抗酸化作用や核酸生合成促進作用などの特徴を併せ持ち、近年その欠乏がアミロイドβやタウを介してアルツハイマー病に類似した病態を呈することが判明したことから、中枢神経への保護作用が期待されている。本研究は、チアミンによるアルツハイマー病の予防・進行抑制効果を実証するため、アミロイドβオリゴマーの神経毒性に対するチアミンの保護機序を細胞モデルを用いた基礎実験で解明し、同時に実臨床における神経心理検査と最新の画像統計解析による脳機能・構造的評価を組み合わせる。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)は、進行する高齢化社会にとって深刻な問題であり、予防と治療の確立は急務である。過去の研究から、ADの発症にはアミロイド仮説に基づいて発症前段階として数十年の長期間を要することが示されており、早期からの介入が望ましいとされる。本邦でも2023年に初めて疾患修飾薬として抗プロトフィブリル抗体Lecanemabが実臨床で使用開始されたが、経済性や安全性など様々な課題が残されている。これに対し本研究では、早期から安価で安全に使用でき、ADを発症抑制する可能性のある薬物としてThiamine(ビタミンB1)の検討を臨床から基礎にかけての多面的解明に取り組んでいる。 本年度は、臨床におけるアルツハイマー型認知症患者の認知機能障害とThiamineとの関連を調査するため、認知症外来におけるデータ収集を行った。概ね予定の半数以上の脳画像・採血・神経心理検査のデータが集積され、現在解析を行っている。脳画像は主に高解像度T1強調画像を用い、surface-based morphometry(SBM)を用いて行われた。SBMは従来のvoxel-based morphometry(VBM)よりも詳細な形態情報を抽出することが可能であり、これを用い臨床的にアルツハイマー型認知症と診断された患者の記憶関連領域の脳表微細構造についてどのような変化が起こるかを検討した。予備的な結果ではあるものの、現在幾つかの領域においてThiamineが保護的に働く可能性が示唆された。次年度は臨床的解析に関してはさらに対象数を増やし、基礎的検証を並行して実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は臨床データの収集及び解析にエフォートを割く必要があり、計画以上に進んでいる。一方で、それに伴い神経細胞モデルを用いた基礎実験の計画が一部後倒しとなり、来年度に施行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は今年度に引き続き、引き続き物忘れ外来における臨床データの収集を継続する予定である。また、前述のごとく、並行してアミロイドβオリゴマーの毒性抑制機序を基礎実験にて明らかにし、令和7年度の論文化を目指す。
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