研究課題/領域番号 |
23K16808
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
治郎丸 卓三 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (50889269)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腸腰筋 / 筋活動 / 歩行 / 立脚期後半 / 床反力 / 前方成分 / 推進力 / 表面筋電図 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢により最も萎縮しやすい下肢筋は腸腰筋であり,加齢に伴う腸腰筋の萎縮と歩行速度低下との関係が報告されている。腸腰筋の主な作用は股関節屈曲運動で,歩行中も股関節屈曲運動により脚を振り出す役割があるが,高齢者は若年者に比べて歩行中に大きな股関節屈曲パワーを発揮している。このように高齢者の方が股関節屈曲運動を強く行っていれば,腸腰筋は萎縮しにくいはずだが,実際には加齢により萎縮しやすい。 そこで,本研究ではこの矛盾を解決するために,腸腰筋の歩行立脚期後半における役割は,脚の振り出し以外にも存在し,その他の役割として床面を蹴り出し推進力を発生させるために役立っていることを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、腸腰筋が歩行の立脚期後半において推進力を発生させる際の役割を解明することを目的としている。特に、この筋肉の活動が地面を蹴る力(床反力)とどのように関連しているかについて詳細に調査した。そのために、踵が床面に接地してからつま先が離地するまでの2歩間で、ジャンプするか、ジャンプしないかの2種類の運動パターンを設定した。これらの課題は、被験者の身長の30%、50%、70%、90%の異なる4つの歩幅で行われ、各条件で立脚期後半に股関節の屈曲を制御(股関節が屈曲運動しないように)する運動と自然に屈曲させる運動の両方を実施した。 研究の進行は、機器の修理と調整による遅れから、計画されていた被験者数のうち10名分のデータのみが取得可能であった。しかしながら、全ての被験者で適切な腸腰筋領域の存在を確認し、課題中の腸腰筋の表面筋電図を測定することができた。 初期のデータ分析によると、立脚期前半及び後半において腸腰筋の活動が顕著に増加する傾向が観察された。特に立脚期後半で股関節の屈曲を制御した状態でも、床反力の前方成分が増加すると腸腰筋の活動も増加した。これは、腸腰筋が歩行時の重要な推進力源であることを示している可能性がある。この結果は、腸腰筋の活動が歩行効率を高めるための重要な機序であることを示唆しており、さらに詳細な研究の価値があることを強調している。 今後はデータ量を増やし、腸腰筋の活動が歩行パターンや床反力にどのように影響を与えるかをさらに詳細に分析する計画である。これにより、腸腰筋の活動が運動機能の改善やリハビリテーションの効果をどのように向上させるかについての理解を深めることが期待される。また、将来的にはこの研究成果を基に、腸腰筋をターゲットとした新たな治療法やトレーニング方法の開発に貢献することも目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は腸腰筋が歩行の立脚期後半においてどのように推進力を発生させるかを解明することを目的としている。運動課題を通じて腸腰筋の活動と床反力との関連を詳細に調査する計画であったが、今年度はいくつかの予期せぬ課題に直面し、計画していた30名の被験者からのデータ取得が10名分にとどまり、進捗がやや遅れている状況である。 遅延の主な原因は、研究に使用する主要な機器の故障とそれに伴う修理および調整の遅れにある。具体的には、腸腰筋表面筋電図電極の貼付領域を測定するための超音波測定機器、および歩行動作を測定するための三次元動作解析用カメラが突発的に故障し、修理業者のスケジュールの都合上、予定よりも長い期間使用できない状況が発生した。これがデータ取得の遅れに直接的な影響を与えた。 また、感染防止対策による研究室内での人数制限や、被験者の健康問題も遅延に寄与した。これにより、計画していた数の被験者を集めることが困難になり、スケジュールの調整が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
これらの問題に対処するため、我々はデータ取得のプロセスを見直し、より効率的なスケジュール管理とリソースの最適化を行っている。具体的には、機器の迅速な修理と定期的なメンテナンスの強化、さらに研究協力者と協力業者とのコミュニケーションを密に取ることで、今後の遅延を最小限に抑える策を講じている。 今後、追加の被験者を確保し、予定していたデータ量を集めることで、研究の目的を達成し、科研費での支援に対する責任を果たすことを強く意識して取り組んでいく。この遅延が将来的に研究成果にどのような影響を及ぼすかについても、慎重に評価し、必要な対策を講じていく。
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