研究課題/領域番号 |
23K16830
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
薗田 邦博 金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (80454338)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 硝酸塩/亜硝酸塩 / NASH / 一酸化窒素 / 心疾患 / 肝疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
NASH(Non-Alcoholic Steatohepatitis)患者の多くは、高血圧を伴い肝硬変から肝がんへと移行しやすいだけでなく、心血管疾患による死亡率も高い(Targher G et al. N Engl J Med 2010)。また、NASHの病態悪化には生体内のNO産生低下が関与するが、病態に不明な点も多く治療も確立できていない。従って、NOが不足したNASHへの食事療法の確立と病態解明は重要とされている。本研究では、NO供給源の役割が期待されている硝酸塩/亜硝酸塩をNO不足を伴うNASHモデル動物に与え、亜硝酸塩摂取による心臓と肝臓への有効性を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝がんのみならず動脈硬化性疾患での死亡率が高く臨床上重要な疾患に位置付けられている。しかし、NASHに対する有効な治療法は確立されていないことから、NASHの病態解明と食事療法の開発が喫緊の課題となっている。NASHと動脈硬化をつなぐ共通因子には、生体内の一酸化窒素(NO)産生低下が深く関わっている。本研究では、NO合成阻害剤を申請者らが開発した食餌誘発性のNASHモデル動物に与え、亜硝酸塩のNASHに対する有効性を明らかにすることを目的としている。 近年、本研究と同様に高脂肪食とNO合成酵素阻害剤をマウスやラットに同時に与えることで駆出率が保持された心不全(HFpEF)を発症することが報告された(Schiattarella et al.Nature 2019, Zhang et al. J Cardiovasc Pharmacol 2023 )。HFpEFは、現在治療法が確立できていない疾患であり、予防や治療法の確立が喫緊の課題となっている。申請者は、SHRSP5/Dmcrラットに高脂肪食を与えることにより、HFpEFで見られる求心性の心肥大を起こすことを明らかにしている。さらに、本研究では高脂肪食に加えNO合成酵素阻害剤を与え線維化まで進行させることから、心機能に影響を与えることが予想された。そこで今回、wistarラットを用いて高脂肪食及びNO合成阻害剤併用して超音波画像診断装置(心エコー)による心臓機能評価の予備的検討を実施した。その結果、高脂肪食とNO合成酵素阻害剤を投与すると心機能が保持されているにもかかわらず心肥大や線維化を起こしたことからHFpEFと類似した病態を示すことが分かった。 今後は、SHRSP5/Dmcrラットに高脂肪食とNO合成阻害剤を与えNASHと心疾患を発症するモデル動物を用いて亜硝酸塩の有効性を評価する。また、当初の研究計画に含んでいなかった「心臓の機能評価」を新たに追加して実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度においては、SHRSP5/Dmcrラットを用いて高脂肪食とNO合成酵素阻害剤を同時に与え、NASHと心疾患を同時に発症させたモデルラットによる亜硝酸塩の有効性を明らかにする予定であった。しかし、近年の報告と申請者の研究から本モデルラットの心不全が予防法や治療法が確立できていない駆出率が保持された心不全であるHFpEFと同様の病態を示す可能性が考えらた。そこで、本年度は心エコーを用いて高脂肪食とNO合成酵素阻害剤による心不全ラットの心臓機能評価を予備的に実施した。その結果、高脂肪食とNO合成酵素阻害剤の併用がHFpEFと類似した病態を示すことが分かった。 そこで、本研究では心エコーによる心臓の機能評価を実施しない予定であったが、今回の予備実験結果から心エコーによる心臓機能評価を新たに追加することにした。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画においては昨年度、NASHと心疾患を同時に発症するモデルラットを作成し、血圧測定や解剖を実施する予定であった。しかし、最近の研究から本実験で使用するモデルラットにおいて、心臓の駆出率は正常でありながら心肥大や線維化を引き起こし、心不全を発症する可能性が考えられた。そこで、心臓の機能を測定できる心エコーを用いて予備検討を実施し、高脂肪食とNO合成酵素阻害剤の併用により心臓機能は保持されているにもかかわらず心肥大や線維化を発症させることが分かった。 そこで、本年度は当初の予定通りSHRSP5/Dmcrラットを用いて高脂肪食とNO合成酵素阻害剤を同時に与え、NASHと心疾患を発症させたモデルラットを作成し、亜硝酸塩の有効性を明らかにする。本年度の研究の具体的な内容は、NASHと心疾患を発症するモデルラットを作成し、心機能評価と血圧測定を実施した後、解剖を行い血液と臓器を採取し、血液検査と病理標本の評価を実施する。
|