• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ランダムウォークの並列化と耐故障性能:「短い」ランダムウォーク解析による理論保証

研究課題

研究課題/領域番号 23K16840
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分60010:情報学基礎論関連
研究機関中央大学

研究代表者

白髪 丈晴  中央大学, 理工学部, 准教授 (50803996)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードランダムウォーク / 到達時間 / 動的グラフ / 並列化 / 耐故障性 / 全訪問時間
研究開始時の研究の概要

数多くの理論研究が進んでいるランダムウォーク(RW)研究ではあるが,「十分時間が経過した後の性質」に比べると,「十分時間が経過する前 (遷移数が少ない) RWの性質」について分かっていることは少ない.それに起因し,並列化,動的な環境への適応性といったRWの諸性質に関する理論研究は乏しく,複数の未解決問題を抱えている.本研究は以下を具体的な目的とし推進する:
1.RWの並列化の威力.即ち複数人のRWによる探索の高速化率に対する一般的な理論保証
2.RWの耐故障性.即ちRWの探索速度とグラフ変化に対する理論的な特徴づけ
3.短いRWの分布,訪問特性の特徴づけとその一般的な理論体系の構築

研究実績の概要

本研究では時間と共に構造が変化するグラフ上におけるランダムウォークを対象とし、その特徴量の理論解析を行った。現実のネットワークが時々刻々とその構造を変化させていることを鑑みた際、そのような構造上におけるランダムウォーカーの振る舞いに対する理論保障の需要は大きく、これまで様々な設定のもと行われていた。本研究ではそれらを広く包含する以下の一般的な枠組みにおいて解析を行った。具体的には、各時刻の遷移行列が既約、可逆かつlazyであり、それぞれの定常分布が不変な場合、タイトな到達時間の上界を導出することに成功した。到達時間は最も基本的なランダムウォークの特徴量の一つであり、古くから静的な構造上において研究されており、近年は動的な設定でも解析が行われていたが、「単純ランダムウォーク」に対するタイトではないバウンドしか知られていなかった。我々の成果はこれを「重み付きランダムウォーク」かつタイトなものへ改善するものである。解析技法は従来の定常分布へ収束するまでの時間(混交時間)と定常分布に収束した後の振る舞いの組み合わせであるが、「混交時間が到達時間以下である」という静的な構造で成り立つ性質を動的な構造上で示すことで上界の改善を達成している。この枠組みの利点はタイトさのみにとどまらず、その柔軟性により全訪問時間、複数歩行者による到達時間・全訪問時間、さらには合流時間といった複数の特徴量に対しても上界を出すことに成功している。特に、合流時間に関しては初の動的な設定におけるバウンドとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記実績のジャーナルへの採択がなされ、ここまでの進捗状況はおおむね順調であると評価できる。すなわち、既存研究で行われたいた動的グラフ上の解析技法の一般化と洗練が完成し、その結果到達時間に関してはタイトな上界を示すことに成功した。これは既存手法の枠組みに関する一つの終着点とみなすことができ、大きな進歩とみなせる。

今後の研究の推進方策

まず、現状設定に加わっている「定常分布が変化しない」という設定に対する理論的考察があげられる。一般に、各時刻で遷移確率行列が変化し、それぞれ異なる定常分布を持っている場合、静的な場合(頂点数の多項式時間の上下界が知られている)と大きく異なる振る舞い(頂点数の指数時間)が見られる例が示されているため、この設定を一般に外すことは出来ない。が、例えば「定常分布が微小に変化する」ような場合、どのような変化が生じるかは不明であり、現在の技法では扱うことができない。このような場合の上下界に関し、新たな枠組みの考察と理論解析が求められる。
もう一つの課題は現在のフレームワークとなっている「定常分布に収束した後」の解析を「定常分布に収束する前」へ拡張することである。本研究課題の主題にも関する問題であり、既存の多くの解析手法の限界に直結している。具体的には、対応する確率行列を縮約した劣確率行列と、その劣定常分布に対する特徴づけに取り組む。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] King's College London(英国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Discrete incremental voting2024

    • 著者名/発表者名
      Colin Cooper, Tomasz Radzik, Takeharu Shiraga
    • 雑誌名

      Proceedings of the 27th International Conference on Principles of Distributed Systems (OPODIS 2023)

      巻: 10 ページ: 1-22

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Reversible random walks on dynamic graphs2023

    • 著者名/発表者名
      Nobutaka Shimizu, Takeharu Shiraga
    • 雑誌名

      Random Structures & Algorithms

      巻: 63(4) 号: 4 ページ: 1100-1136

    • DOI

      10.1002/rsa.21164

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Discrete incremental voting2023

    • 著者名/発表者名
      Takeharu Shiraga
    • 学会等名
      The 27th International Conference on Principles of Distributed Systems (OPODIS 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi