研究課題/領域番号 |
23K16867
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
川端 明生 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00963109)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 分散処理 / 遅延公平制御 / 信頼性 / リアルタイムアプリケーション / 遅延 / 仮想時刻 / エッジコンピューティング |
研究開始時の研究の概要 |
リアルタイム性の高いアプリケーション(APL)をネットワーク経由で提供する際、End-End遅延の削減とユーザ毎の通信距離の差による遅延の不公平性が課題となる。本研究では「仮想時刻」という概念を導入し遅延公平性と低遅延を実現する分散処理方式に取り組む。本方式は、APL毎に様々な工夫をしてきた遅延公平性をミドルウェアとして実現することで、通信距離を意識せずAPLの動作を可能とする。本方式を高信頼性ネットワークに適用するための冗長性の向上、ミドルウェアとして動作させる際の管理システムの処理方式について取り組む。本成果により、遠隔医療、自動運転等のミッションクリティカルなAPLの発展が期待される。
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研究実績の概要 |
我々の研究目的は、複数のユーザがネットワーク経由で双方向通信するアプリケーション(APL)において、遅延の低減および遅延公平性への対策をAPLで共通的に利用できるプラットフォーム機能の実現である。実現にあたっては、ミドルウェアのようにAPLの下層に配置し各ユーザとAPL間通信を当該ミドルウェア経由で行う形態を想定する。つまり、当該ミドルウェアを利用することで、APLはユーザ毎の通信距離による遅延差を意識することなく、遅延差がゼロの状態で全ユーザと通信ができる状態を実現する。 本テーマにおいては、提案する分散処理方式について、ミッションクリティカルなケースへの適用領域の拡大に向けた「課題①:分散処理方式の信頼性向上」、サービス開始時の仮想時刻の計算と各サーバへ通知し状態を制御する「課題②:管理システムの処理方式」に取り組むことで、当初想定していたミドルウェアとしての実現性を加速させる。「課題①:分散処理方式の信頼性向」については、実現に向けた処理方式と整数線形計画法を用いて仮想時刻を決定する手法を明らかにすることを目的としている。2023年度の成果は、当初の計画書に記載のとおり、「課題①:分散処理方式の信頼性向」において、基本的なアイデアとシンプルなネットワークモデルでの評価を行い、冗長性向上に伴う遅延の劣化と信頼性の向上について定量的な比較を行い学術論文として採択された。 当初予定していない成果として、分散処理するサーバ間の状態不一致が発生した場合の整合性を考慮した分散処理方式(学術論文に採択済)、および、遅延公平性の対象として楽観的同期をサポートしAPLと保守的同期をサポートしたAPLの両方に適用するための方式改良に取り組んだ(査読付国際会議に採択済)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度取り組みの「課題①:分散処理方式の信頼性向上」については、応募時にアイデアレベルを国際会議に投稿しており、国際会議に採択されたことで、アイデアの具体化と定量的な評価を、再投稿や内容見直しをすることなく進められたことで、当初予定よりも検討の加速が実現された。また、共同研究者であるM1学生との議論を頻繁かつ継続的に進めた結果、学生が積極的に新しい提案をしてくれたおかげで当初予定しない成果を創出できた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、当初予定どおり、様々な故障ケース(リンク故障、サーバ故障)に対応できるよう迂回ルートやサーバのライブマイグレーションを考慮した拡張を行う。「課題②:管理システムの処理方式」については、(i)ユーザ参加、(ii)遅延計算、(iii)仮想時刻のサーバへの通知、(iv)APLスタート、(v)運用中監視、(vi)異常時の処理とプロセスを分けて、プロセス毎の機能と状態遷移を明らかにする。2025年度は、2024年度までの課題①の検討結果を踏まえて、処理のプロセス分けと処理の具体化を行う。前年の検討を踏まえて、簡易なデモシステムをプログラム試作しミドルウェアとしての基本構成と実現性を確認する。これらの成果について、国際会議、学術論文への投稿を進める。
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