研究課題/領域番号 |
23K16895
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田中 緑 千葉大学, 大学院情報学研究院, 准教授 (40780979)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 質感再現 / 質感空間 / 知覚的画像再現 / 測色的画像再現 / 定量化 |
研究開始時の研究の概要 |
情報化社会の更なる発展のためには、実物体・画像の対象を問わず、様々な質感を統合的に扱う質感情報の変換技術が望まれる。本研究では、代表的な質感(光沢感、透明感、粗さ感)を対象として、実物体と知覚的に等価な画像再現と弁別特性を実験的に調査することで、物理特性と各質感を統合的に扱い、物体の物理量と人間の質感知覚量を変換可能にする質感空間の構築に取り組む。本研究によって次の成果が期待される:①実物体と画像から知覚される質感の関係が明白になり、質感知覚における視覚情報の重要な特徴の抽出と弁別特性が解明される。②構築された質感空間は、質感情報のコミュニケーションや質感管理の指標に有用である。
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研究実績の概要 |
2023年度は、研究計画に基づいて、①測色的再現画像の生成と物理計測、および②知覚的質感再現手法の開発、に加えて、2024年度に予定していた③質感類似性の評価、の3点の研究に取り組んだ。 ①の研究成果:新たに用意した実物体のサンプルを加えた11材質からなる約60個の実物刺激に対して、視感評価実験の観察条件を定めた。測色的再現画像の生成では、実物刺激と同等の刺激観察環境を画像で再現するために、画像再現の試行を重ね、人間の色知覚弁別閾より小さい色差の高精度な色再現によって、測色的再現画像の生成に成功した。また、実物物体の微細な表面凹凸を深度計測し、物体表面の色・形状情報を獲得した。 ②の研究成果:開発済みの質感再現画像処理を応用して、段階的に質感のみえが異なる画像刺激群を生成し、視感評価実験によって得られた知覚質感の差異を解析している。対面実験において一つ一つ丁寧に評価していることから、質の高いデータを得られているが、解析のためには引き続き実験を遂行し、データを収集する必要がある。 ③の研究成果:実物とその測色的再現画像を用いた質感の比較評価実験を遂行し、実物と測色的再現画像間で異なる質感とサンプルの特徴量解析を実施している。加えて、知覚的質感再現を目指した②の試行手法に基づく画像刺激を用いて、同様の比較評価実験を遂行し、知覚的質感再現に求められる画像処理の要因の解析を実施している。 上記の成果によって実験遂行に必要な環境構築がおおむね整ったため、今後は引き続き視感評価実験を中心に進め、知覚質感の差異と物理量の関係性の解析に注力する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に示したとおり、当初の研究計画に従って順調に研究①~②を遂行し、来年度に予定していた③についても前倒しで取り組むことができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き順調に計画通りに研究を遂行する。具体的には、②の視感評価実験に基づく知覚的質感再現手法の開発を進めるとともに、③質感類似性の評価と尺度解析による質感空間の構築にも着手する。 当初は、③において測色的・知覚的再現画像を対象にオンライン実験を行い、評価データの量を優先した量的データも得る予定であったが、オンラインによる量的データの低質化の懸念と、対面実験による高質な評価データの重要性が高いことから、対面での視感評価実験に重きを置いた実験の遂行に切り替える。加えて、実物ベースの測色的・知覚的再現画像を用いた視感評価実験では、刺激の統制を取り、くまなく実験刺激を用意することが難しいことから、CG刺激の活用も検討する。 得られた成果は、雑誌論文や国際会議論文等による積極的な公表を目指す。
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