研究課題/領域番号 |
23K16899
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
朱 臻陽 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10954927)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 色覚障がい支援 / シミュレーションモデル / 深層学習モデル / 色覚範囲計測 / 障がいシミュレーション / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,色覚障がいによるコントラスト損失を補償する色変換技術が必要とする障がいシミュレーションモデルの提案,障がいの度合を計測する技術の確立,そして個人適応型色変換技術の確立に向けて,以下の3つの課題に取り組む.(1)物理的・生理学的原理に基づき,異なる度合の色覚障がいシミュレーションモデルを提案する.(2)ユーザが実時間での利用を想定し,ユーザ個人の色覚障がい度合に適応してコントラスト損失の補償を行う深層学習モデルに基づく色変換技術を開発する.(3)提案する障がいシミュレーションモデルに基づき,既存の色覚検査方法と提案する色変換技術を利用したユーザ個人の色覚範囲を計測する技術を開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では,個人の色覚障がい度合に適応できる支援用画像を生成する技術の開発を目的としている.具体的には,(1)異なる度合の色覚障がいシミュレーションモデルの提案,(2)個人の色覚障がい度合に適応してコントラスト損失の補償を行う色変換技術の開発,(3)ユーザ個人の色覚範囲を計測する技術の開発である. 本研究課題の1年目では,深層学習モデルを利用した二色覚補償用色変換技術を開発した.提案モデルの有効性を検証するために,色覚障がいをもつ協力者による主観評価実験を行い,その成果をまとめた論文が国際論文誌Neural Computing and Applications に採択された.一方,個人の障がい度合に適応できる高速色変換技術を開発した.想定した障がい度合への補償を最適化問題と定式化し,高速な離散的ソルバーも併せて提案した.提案技術の有効性を検証するために,色覚障がいをもつ協力者による主観評価実験を行い,その成果をまとめた論文は国内CG分野の最高峰学会Visual Computing シンポジウムに採択され,口頭発表を行った.さらに,提案技術を拡張し,その成果を英語論文にまとめ,国際会議Computer Graphics International (採択論文はCG分野のトップ国際論文誌の一つであるThe Visual Computerに掲載される)に投稿し,「Accept with Minor Revision」という査読結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,色覚障がいシミュレーションモデルを提案とコントラスト補償用色変換技術を開発すると同時に,色覚障がい者の色覚範囲を計測する技術も併せて提案する. 準備期間では,二色覚者が区別し難い色の組み合わせを含む画像を収集し,画像変換用深層学習モデルのための学習用データセットを作成した.本研究課題1年目では,二色覚補償用画像を生成する深層学習モデルを提案した.提案モデルでは,画像変換モデルU-Net構造を取り入れ,画像局部及び全体のコントラストを保つために,Long-Range Dependency機構をもつSwin Transformer blockを取り入れ,準備期間で収集したデータセットで学習させた.提案モデルの有効性を検証するために,色覚障がいをもつ協力者18名による主観評価実験を行い,その成果をまとめた論文が国際論文誌Neural Computing and Applicationに採択された.さらに,個人の障がい度合に適応できるコントラスト強調と自然さ保存を両立させ,日常生活での利用に耐えられる高速色変換技術も併せて提案した.その成果をまとめた論文が国内のCG分野のトップ学会Visual Computing シンポジウムに採択され,口頭発表を行った.また,色覚障がい者による主観評価実験を追加し,拡張した論文を国際会議CGI (採択論文はThe Visual Computerに掲載される)に投稿し,Accept with Minor Revision という査読結果を得た.これからは論文を修正し,提出する予定である. 研究実績の概要で記述したように,多くの研究成果が得られており,採択1年目では,期待通り研究を進展させたと評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策としては,個人の障がい度合に適応できる支援画像生成モデルの提案及び色覚範囲計測技術の開発とする. 本研究課題1年目で開発した二色覚補償用深層学習モデルを拡張し,個人の障がい度合に合わせて補償画像を生成できるようにする.まずは,1年目で開発した高速色変換技術を利用し,異なる障がい度合のための支援画像を生成し,提案するモデルの学習用データセットを収集する.提案モデルの有効性検証するために,色覚障がいをもつ協力者による検証実験を行い,成果をまとめ,国際学会誌IEEE Transactions on Image Processingに投稿する予定である.色覚範囲計測技術の開発については,提案した異常三色覚のための色変換方法で生成した補償画像を用いて,対話的に色覚範囲を測定する技術を開発とする.また,提案技術の有効性を検証するために,提案手法による測定結果をFarnsworth-Munsell 100 Hue Test等による精密検査の結果と比較し,その結果に基づいて手法の改善を行う.最後に,成果をまとめ,CG分野のトップ国際学会誌の一つであるIEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics に投稿する予定である.
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