研究課題/領域番号 |
23K16911
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
淺野 祐太 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 助教 (70884675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | コンピュータビジョン / 分光 / 形状推定 / 水中 |
研究開始時の研究の概要 |
一般的に、カメラを用いて3Dデータを取得するためには、画像中の空間的な特徴や光の飛行時間・位相の特徴を用いて、測定対象までの深度を推定する手法が用いられる。しかし、海中では光の吸収・散乱・屈折現象が発生するため、これらの光の物理現象の影響を可能な限り除去することが必要であり、従来手法を直接海中で適用することが困難である。 本研究では、従来は解析の妨げとして捉えられてきた光の吸収・散乱・屈折現象による影響自体を解析の手掛かりとして、光の広波長域情報に加えて、空間および時間情報を複合的に解析することで、非破壊・非侵襲・非接触で広範囲・高分解能な海中環境での形状推定技術の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
日本は広大な排他的経済水域の面積を有する世界有数の海洋国家であり、海底の形状や深度、海洋生物の3Dデータを取得する方法は、最も重要な技術の一つである。従来の光を利用した高精度かつ高解像度の形状推定手法には、撮影画像中に局所特徴量が充分に含まれることや推定対象表面における一般的な反射光が取得できるなどの仮定が多く存在するため、色情報に関する特徴量の少ない海底や、特殊な反射特性を有する海洋生物の3Dデータを取得することは難しい。さらに、海中で発生する光の吸収や散乱、屈折といった光学的物理特性による影響が取得データに大きく表れるため、高分解能かつ鮮明なセンシングを行うことが困難である。 本研究では、光の広波長域情報を活用することで、波長方向の光の吸収・散乱・屈折現象の差異情報を複合的に活用し、水中における光の物理特性を3Dデータを取得するための特徴量として扱うことで、詳細な3Dデータを非破壊・非侵襲・非接触でリアルタイムに取得可能な技術の開発を目的とする。 本年度は、水中環境で撮影された可視光および近赤外線領域におけるハイパースペクトラル画像から、抽出可能な影響量についての輝度・空間分解能を確認し、それらを考慮したモデルを構築した。またシミュレーション画像から深度推定に有用な可能性のある特徴量と推定誤差を引き起こすと思われる要素を分離し、深度推定アルゴリズムに必要な要素の調査、および実際に撮影された画像の解析を進めた。さらに別応用として、ハイパースペクトラルカメラで撮影されたビデオデータの空間的にスペクトルの特徴変化を活用したトラッキング手法や深度推定手法の開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに、水中を対象とした深度推定を行うための特徴量として、光の波長依存性に関する物理特性を解析し、光の物理特性を活用した深度推定アルゴリズムの開発を進めている。また、他の応用手法の開発も進められたことで、順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた成果を元に、水中の深度推定の精度向上を目指し、実際に必要な分光画像を取得可能なイメージングデバイスの開発を進める。そして、偏光情報など全く新しい特徴量を組み合わせる方法を検討し、光の波長依存性と光の偏光情報を活用したアルゴリズムも検討する。
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