研究課題/領域番号 |
23K16922
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 拓人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (10854036)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ハンガー反射 / 運動障害 / ジストニア / 疑似力覚 / 筋電計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では侵襲的な対症療法が行われている不随意な異常姿勢が伴う運動障害(ジストニアやパーキンソン病)に対して,非侵襲で安価な症状改善を実現させる.申請者は頸部ジストニア(不随意な頭部の異常姿勢)に対して,頭部に強力な力覚が生起する「ハンガー反射」現象を適用することで,一定の治療効果があることを確認した.また,申請者は医師の監督下において,頸部以外のジストニア(手首,足首)やパーキンソン病へハンガー反射を予備的に適用し症状の改善を確認した.そこで,本研究ではハンガー反射の基礎的な知見調査,適用疾患・症状調査,安定的なハンガー反射提示デバイス開発を行い,症状改善を実現させる.
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研究実績の概要 |
本年度は現象の適用部位のために,ハンガー反射を肩部へ適用した.本研究で利用する「ハンガー反射」現象は身体部位を圧迫した際に発生する皮膚の横ずれによって力覚を知覚させる.これまで,本現象は,頭部,手首,肘,膝,足首で確認されていた.これらの部位の特徴として皮膚と骨が近く,圧迫によって皮膚の横ずれが発生しやすいというものがあった.逆に,この特徴を持つ未適用部位を検討したところ,肩に思い至った.他の部位で実施した手法と同じ,フレーム内部に空気袋を搭載したデバイスを開発し,圧迫による皮膚の横ずれを発生させた.適用の結果,肩においても皮膚変形方向に力覚を知覚することが確認された.開発したデバイスを用いた実験を実施したところ,前後方向を司令通りに有意に高い確信度をもって回答された.これにより,肩へのハンガー反射提示が可能となり,腕や体幹で発生したジストニアへ適用する手法が開発された. さらに,足首でのハンガー反射を足におけるジストニアに対して適用する試みも実施した.足におけるジストニアでは,不随意に内反尖足や足首が捻れてしまうなどの症状がある.この症状に対して,症状を相殺する方向に足首ハンガー反射を適用した.内反尖足が現れる患者においては,歩行時に特に異常姿勢が発生していたが,デバイスを装着させると,異常姿勢が収まり歩行が安定した.患者本人も劇的な変化を自覚していた.足首が捻れてしまう症状の患者においても,歩行時に異常姿勢が発生していた.デバイスによる症状相殺を試みたところ,大幅な姿勢改善が確認された.本人も姿勢改善を自覚しており,歩行がしやすいという旨のコメントが得られた. 今回の試みは,装着直後の効果を検証するものであったため,長期的な効果は今後検証する必要があるが,以前実施した頸部ジストニアへの試みと同じく,症状改善が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では,ハンガー反射時の筋電計測などによって,現象による筋緊張への影響を理解するとしていたが,協力医師より適用可能な患者を複数紹介していだいたため,新たな症状(足でのジストニア)への適用を実施した.結果的に適用作業は進んだだめ,全体で実施する必要がある作業量的には,当初の計画通りに進展したと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本年度で実施できなかった,ハンガー反射時の各部位の筋電計測や,予備実験で確認された症状改善の追実験を実施していく.また,引き続き新たな症状へのハンガー反射の適用も並行して実施していく.
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