研究課題/領域番号 |
23K16928
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
木下 史也 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20800907)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 軽度認知障害 / 視空間認知障害 / バーチャルリアリティ / ヘッドマウントディスプレイ / 視線計測 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の初期症状の一つである視空間認知障害は,対象物の「空間における位置」や複数の対象物の「空間における位置関係」の認識に不具合が生じる障害である.本研究課題では,視線計測機能の付いたヘッドマウントディスプレイ上にVRコンテンツを表示し,そのコンテンツ視聴時の視線情報を解析することで,高齢者の奥行き知覚能力を定量的に評価する.
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研究実績の概要 |
認知機能低下の遅延に関しては,健常と認知症の境目に位置する軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment; MCI)の早期発見が重要である.MCIは1999年に米国のRon Petersenが確立した概念で「正常とはいえないが認知症ともいえないほど軽度の認知障害」である.MCIと診断された患者は,その後の認知症への移行リスクが高いことから,MCIは認知症の前段階であると考えられている.しかしながら,MCIは認知機能の一部に問題を抱えつつも日常生活には支障をきたさない状態であるため,早期発見が困難である.ここで,アルツハイマー型認知症には,図形を描くのが苦手になる,運転で道に迷う,車庫入れができなくなるといった初期症状が,視力障害がなくとも出現することが知られている.これらの症状は視空間認知障害と呼ばれ,認知症の早期診断のための重要な臨床症状である.視空間認知障害は,頭頂-後頭葉の血流低下が責任病巣となり,対象物の空間における位置や,複数の対象物の空間における位置関係の認識に不具合が生じる認知障害である.視空間認知障害は,アルツハイマー型認知症だけでなく,MCIにも認められる臨床症状であることから,視空間認知機能を定量的に評価することができれば,MCIの早期発見にも期待される.そこで本研究課題では,利用者の奥行き知覚能力を定量的に評価することができるバーチャルリアリティ(VR)コンテンツの開発を行う.そして,このVRコンテンツを視線計測機能の付いたヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display; HMD)から提示することによって,オブジェクトを注視している際の視線情報からMCIの早期発見を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度では,Unityを用いてVRコンテンツの開発を行った.開発したVRコンテンツではオブジェクトの数や色,大きさ,速さ,移動範囲などを任意に設定できるよう設計し,このVRコンテンツを視線計測機能の付いたHMDから提示することによって,オブジェクトを注視している際の視線情報を取得できる.
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今後の研究の推進方策 |
R6年度では,健常者群を対象としたコンテンツの評価実験を行い,開発したVRコンテンツにおける利用者の視覚特性について調査を行う.また,コンテンツ使用時の生体信号も同時計測することで,より多角的な視点による評価を試行する.
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