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ベイズ計測の基盤構築と普及

研究課題

研究課題/領域番号 23K16959
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分61040:ソフトコンピューティング関連
研究機関東京大学

研究代表者

片上 舜  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (90972084)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードベイズ推定 / モデル選択 / ベイズ統合 / 交換モンテカルロ法 / ベイズ推論 / マルチモーダル計測
研究開始時の研究の概要

近年、計測科学にベイズ推論を応用するベイズ計測が広がりつつある。ベイズ計測では従来手法の問題点であった評価関数のローカルミニマムの問題を解決できる。さらに計測データがどのようなメカニズムで生成されたかを計測データから決めることのできるモデル選択が可能である。本研究課題では、これまでの研究に基づき【課題 1】マルチモーダルな計測データへのベイズ計測【課題 2】ベイズ計測アルゴリズムの高速化【課題 3】ベイズ計測の高速ライブラリによる水平展開 の課題でベイズ計測の効率化と普及を目指す。本課題で提案する枠組みを確立させることで、 ベイズ計測の情報数理科学への応用展開に多大な波及効果が見込める。

研究実績の概要

前年度において、私はベイズ計測の基盤を構築し、その適用範囲を広げる一連の研究を進めた。具体的には、ベイズ計測における能動学習手法およびベイズ統合の手法を開発し、またベイズ推論の応用事例として結晶場パラメータの推定、核磁気共鳴(NMR)測定データの解析手法を示し、ベイズ計測の適用範囲を拡充した。これらの手法は、データ駆動型の科学研究における重要な進展を示している。
また、小角散乱(SAS)データの解析や、電子顕微鏡画像の高速な画像修復技術にも注力した。特に画像修復技術は、GPUを用いることで高速な実行を可能とした優れた復元能力を示し、リアルタイムに電子顕微鏡画像の質を改善させることを可能とした。
さらに、ベイズ推論を用いた統計ゆらぎの影響評価を通じて、データ解析の不確実性を定量化し、ベイズ推論、モデル選択およびベイズ統合の結果の信頼性について理論的に言及した。この成果は、日本物理学会の講演にて共有した。
また、ベイズ推論の普及活動として、開発中のベイズ推論オープンソースソフトウェア(OSS)に関する講演をSPring-8、あいちSR、東大の専攻内部で行い、ベイズ推論の基礎から応用に至るまでの広範なレクチャーを提供した。
これらの研究成果は、ベイズ計測及びその応用技術の進化に大きく貢献し、科学的探究の精度を向上させた。次年度以降では、これらの成果を活用・発展させ、ベイズ推論OSSに組み込むことでベイズ計測手法のさらなる普及と進化を目指していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究課題は、ベイズ計測の基盤構築と普及を目的としており、当初の計画以上に進展している。この進展は、以下の主要な要因によりもたらされた。
まず、ベイズ計測における新規な解析手法の提案が大きく寄与している。具体的には、ベイズ統合とベイズ能動学習の導入により、従来のデータ解析手法に比べて、データからの推論性能が向上した。これにより、少数の計測データから、効率的により正確な物理量の推論が可能となった。
次に、ベイズ計測の実応用における具体的な成果が挙げられる。結晶場パラメータの推定、核磁気共鳴(NMR)測定データ、小角散乱(SAS)データの解析手法、そして電子顕微鏡画像の高速画像修復技術の開発は、実際の計測データ解析の応用においてもその有効性が認められ、ベイズ計測技術の適用範囲の拡大に繋がった。特に画像修復技術は、GPUを用いることで高速な実行を可能とした優れた復元能力を示し、リアルタイムに電子顕微鏡画像の質の改善を可能とした。
さらに、ベイズ推論の精度向上にも大きな進展があった。データ計測時の統計ゆらぎがベイズ推論やモデル選択、ベイズ統合にどのような影響を与えるかを理論的に評価することで、これらの影響を予測し、対策を講じることが可能となった。この研究成果は、データ解析の不確実性を低減し、より信頼性の高い推論を実現することを可能にした。
また、ベイズ推論の普及活動として、開発中のベイズ推論OSSに関する講演をSPring-8、あいちSR、東大の専攻内部で行い、ベイズ推論の基礎から応用に至るまでの広範なレクチャーを提供した。
これらの複合的な要因が相まって、本研究課題は当初の計画を上回る速度で進展を遂げており、今後もこの勢いを持続してさらなる研究の深化を図っていく所存である。

今後の研究の推進方策

前年度の研究成果を受けて、今後の研究推進方策は、ベイズ計測技術のさらなる深化と普及に焦点を当てていく。具体的な推進方策は以下の通りである。
技術の深化と新規応用の探求 : 結晶場パラメータの推定、核磁気共鳴(NMR)測定データ、小角散乱(SAS)データの解析、及び電験画像の高速画像修復技術の開発により得られた知見を基に、これらの技術をさらに発展させる。具体的には、複数の測定手法を組み合わせたハイブリッドなデータ解析モデルを開発し、異なるタイプのデータからより高度な情報を抽出する手法を模索する。これにより、ベイズ計測技術の適用範囲を新たな科学分野や産業へと拡大していく。
オープンソースソフトウェアの開発と普及 : 開発中のベイズ推論オープンソースソフトウェア(OSS)を利用して、ベイズ統合やベイズ能動学習の手法を広く公開し、利用しやすい形で提供する。このソフトウェアを通じて、研究者だけでなく産業界の技術者にもベイズ計測技術を手軽に利用してもらえるような環境を整備する。また、ソフトウェアのユーザーコミュニティを構築し、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れながら、機能の改善と更新を行う。
国際的な共同研究の推進 : 海外の研究機関や大学との共同研究を進め、ベイズ計測技術の国際的な研究ネットワークを構築する。これにより、多様な研究文化や異なる観点からのアプローチを取り入れることが可能となり、技術の進化に新たな視点を得られると考える。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Bayesian active learning with model selection for spectral experiments2024

    • 著者名/発表者名
      Nabika Tomohiro、Nagata Kenji、Mizumaki Masaichiro、Katakami Shun、Okada Masato
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 号: 1

    • DOI

      10.1038/s41598-024-54329-w

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bayesian Integration for Hamiltonian Parameters of Crystal Field2024

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Rei、Katakami Shun、Nagata Kenji、Mizumaki Masaichiro、Okada Masato
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 93 号: 3

    • DOI

      10.7566/jpsj.93.034003

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Unique Band Structure of Pressure Induced Semiconducting State in SmS Characterized by 33S-Nuclear Magnetic Resonance Measurements2024

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Shogo、Ueda Hajime、Mutou Tetsuya、Katakami Shun、Okada Masato、Yokoyama Yuichi、Mizumaki Masaichiro、Hiraoka Naoka、Kitagawa Kentaro、Haga Yoshinori、Fujii Takuto、Nakai Yusuke、Mito Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 93 号: 1 ページ: 013702-013702

    • DOI

      10.7566/jpsj.93.013702

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Efficient NMR measurement and data analysis supported by the Bayesian inference: The case of the heavy fermion compound YbCo2Zn202023

    • 著者名/発表者名
      Ueda H.、Katakami S.、Okada M.、Yoshida S.、Nakai Y.、Mito T.、Mizumaki M.
    • 雑誌名

      Journal of Magnetic Resonance

      巻: 357 ページ: 107585-107585

    • DOI

      10.1016/j.jmr.2023.107585

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bayesian Inference for Small-Angle Scattering Data2023

    • 著者名/発表者名
      Hayashi Yui、Katakami Shun、Kuwamoto Shigeo、Nagata Kenji、Mizumaki Masaichiro、Okada Masato
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 92 号: 9

    • DOI

      10.7566/jpsj.92.094002

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast reconstruction of scanning transmission electron microscopy images using Markov random field model2023

    • 著者名/発表者名
      Kusumi Taichi、Katakami Shun、Ishikawa Ryo、Kawahara Kazuki、Shibata Naoya、Okada Masato
    • 雑誌名

      Ultramicroscopy

      巻: 253 ページ: 113811-113811

    • DOI

      10.1016/j.ultramic.2023.113811

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bayesian Approach to <i>T</i><sub>1</sub> Analysis in NMR Spectroscopy with Applications to Solid State Physics2023

    • 著者名/発表者名
      Ueda Hajime、Katakami Shun、Yoshida Shogo、Koyama Takehide、Nakai Yusuke、Mito Takeshi、Mizumaki Masaichiro、Okada Masato
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 92 号: 5 ページ: 054002-054002

    • DOI

      10.7566/jpsj.92.054002

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 可解モデルによるメゾスコピックベイズ推論2023

    • 著者名/発表者名
      片上舜, 柏村周平, 永田賢二, 水牧仁一朗, 岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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