研究課題/領域番号 |
23K17005
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 真利子 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (80838847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 集団意思決定 / Hawkes過程 / 意思表明時系列 / 金融市場 / スパイク列 / 点過程 / 集合知 / データ解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,将来予測等の課題に対する集団意思決定や金融市場の取引について,意思表明や取引が起きた時刻の系列である意思表明・取引点過程時系列を分析する.特に,短時間に多くのイベント(表明・取引)が集中するクラスタや,他のイベントに対して先行・先回りするイベントに着目する.イベント間の励起関係を仮定するHawkes過程解析等を取り入れて,先行・先回りイベントを時系列から抽出する手法を開発し,それらの集団意思決定に対する影響を解明する.
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研究実績の概要 |
本課題では,集団意思決定において意思表明がされた時刻の系列である意思表明時系列を主な研究対象とする.特に,意思表明時系列において短時間に多くの表明が集中するような表明クラスタに着目し,表明クラスタの特徴と集団意思決定の質の関係を解明することが本課題の目的である. 本年度は,Hawkes過程モデルに基づいて表明クラスタの生成要因を推察する手法を検討した.Hawkes過程モデルは,ある事象がさらに後続する事象を引き起こすような状況を仮定したモデルである.このモデルの主要パラメータであるBranching ratioとBackground rateは,それぞれ,表明がさらに表明を引き起こす追随の強さと表明の起きやすさのベースラインを表す.したがって,Branching ratioとBackground rateの時間的推移と表明クラスタの出現タイミングを比較することで,表明クラスタが追随により内生的に出現したのか,または何かの外部要因によって生じたのかを推察できると考えられる.この分析手法については株式市場における取引時刻データ分析にも適用しており,部分的に本課題への助成を受けて進められた本研究の成果は,国際学術誌に掲載されている. また,集団意思決定実験における意思表明タイミングを調べた先行研究のデータを用いて,意思表明時系列の特徴を分析した.このデータでは,複数の集団意思決定について各個人が意思表明した時刻が記録されており,各集団意思決定からそれぞれ一つの意思表明時系列を構成できる.意思表明時系列間の関係性を,主にスパイク列間に定義されるEdit distanceと呼ばれる距離に基づいて測り,その距離をもとに意思表明時系列をクラスタリングした.その結果,意思表明時系列間のEdit distanceに基づく近さと集団内正答率の類似性には明確な関係性が見受けられなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
意思表明時系列における表明クラスタの生成要因を推察する分析手法を確立できたため.また,意思表明時系列のEdit distanceに基づくクラスタリング結果に基づいて,「今後の研究の推進方策」に記載するような今後の方針を立てられたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の分析や研究代表者のこれまでの意思表明時系列に関する研究結果から,意思表明時系列における表明時刻分布そのものではなく,表明クラスタの特徴が集団意思決定の正確さと関係すると予想される.来年度は,表明クラスタの詳細な特徴(表明の集中度合いや,表明クラスタを構成する意見の内容)も考慮して,解析を進める.
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