研究課題/領域番号 |
23K17023
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
|
研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
平井 辰典 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 准教授 (70780542)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 音楽情報処理 / 微分音 / 創作支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本提案では,現代の音楽を支配する強い制約である「音律」にとらわれずに自由な周波数の音によるメロディ(一般化メロディ)を作るための創作支援技術を実現する.さらにそれに伴い,一般化メロディについての1万フレーズを超える大規模なデータセットを構築して公開することを目指す. 一般化メロディと言っても出鱈目な周波数の音の連なりではなく,聴感上自然に感じられるような一般化メロディを機械学習による周波数遷移モデルにより実現する.本提案により,長い間12平均律とそれに基づく音楽理論というルールに縛られてきた音楽という芸術のアップデートを目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究は「①一般化メロディデータセット構築」,「②一般化メロディ生成のための周波数遷移モデルの構築」,「③一般化メロディ創作支援技術の開発」の3つのステップで遂行することを計画している.当該年度は計画初年度でありながらも,すべてのステップに関して初期成果を上げることができた. まず,当初予定していた「①一般化メロディデータセット構築」の第一段階として,100曲の手作業で制作された微分音楽曲からなる「微分音楽データセットv1」を制作し,公開した.これにより,当初予定していた手作業によるデータの制作のタスクは完了したこととなるが,その後の研究の成果も踏まえ,今後さらなる手作業によるデータセットの拡充を図る方針とした. 次に,制作したデータセットの楽曲を土台として,「②一般化メロディ生成のための周波数遷移モデルの構築」を行った.これにより,世界で初めての微分音楽の自動生成を達成した.この生成モデルに関しては現在も改良を重ねているところであり,データセットの拡張と並行して取り組んでいく予定である. 最後に,「③一般化メロディ創作支援技術の開発」の初期段階の成果として,XR技術を使った微分音楽曲の演奏が可能なプログラマブルな音楽キーボードを開発した.この成果については当初の計画には含まれていなかった(研究期間後半に取り組む予定であった内容)が,上述した2つのステップの成果と並行して研究に取り組み,成果を上げることができた.この成果は今後の微分音メロディの創作支援技術の実現に繋がる一つのインタフェースの提案となり,上述の2ステップと並行して進めていくことを予定している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,研究計画初年度には100曲分の微分音楽メロディのデータセットを手作業で構築する予定と,そのデータセットを使った一般化メロディ生成のための周波数遷移モデルの構築の初期実装を行う予定であった. それに対して,データセットを早い段階で制作し,さらに当初予定していたようなメロディだけのデータセットではなく,伴奏などの他の情報も豊富に付加されたデータセットを作成・公開することができた.また,データセットを活用した「一般化メロディ生成のための周波数遷移モデルの構築」についても成果を上げることができ,計画2年度目以降には,これらの成果が土台となり,データセットの拡張やモデルの改善等に取り組むことができ,当初想定していた以上の成果を得られる可能性が見えてきた. 上記の内容だけでも当該年度の研究計画に対して十分な進展であると言えるが,当該年度には,この成果とは別に当初の計画では研究期間後半に取り組む予定であった「一般化メロディ創作支援技術の開発」に繋がる内容にまで取り組むことができ,その初期成果を挙げることができた.この成果は,国内学会で発表した結果,発表賞も受賞できており,今後のさらなる発展に期待できる. 以上のように,当初計画していた2つのステップについて計画以上の進展が得られたことに加えて,当初は計画していなかった3つ目の「③一般化メロディ創作支援技術の開発」のステップについても取り組むことができたことから,本研究課題は「当初の計画以上に進展している」といえる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,当初予定していた2年度目の計画として,「①一般化メロディデータセットの構築」と「②一般化メロディ生成のための周波数遷移モデルの構築」の二つのステップに注力しながら,初年度に計画以上の成果を挙げることができた「③一般化メロディ創作支援技術の開発」についても今後に繋げるための研究を継続していく予定である. 「①一般化メロディデータセットの構築」の第二段階として,当初の予定通りメロディの自動生成技術も活用しながらのデータの拡充を図る.それとは別に,初年度の研究の結果,人手でのデータの拡充も引き続き必要であることを実感した.そのため,人手での微分音曲データの拡充作業を追加で行うことで,なるべく高品質なデータを多く作成していく予定である. 「②一般化メロディ生成のための周波数遷移モデルの構築」の二年度目の研究内容としては,初年度の成果を基にしてより効果的な生成が実現できるモデルを導入し,実験を繰り返しながら改善をしていく.その成果を基に,世界初の微分音楽生成技術を対外発表することを目指している. また,これまでの計画ではメロディのみに焦点を当てた研究の計画を行っていたが,メロディとの関連が深い和音や調などの関連する音楽的要素にも着目し,微分音全般についての知見を深めていきながら関連した成果を挙げていく予定である.それにより,二年度目以降も当初の計画以上の研究成果を挙げていくことを目指す.
|