研究課題/領域番号 |
23K17027
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山本 雄平 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教 (30845102)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 静止軌道衛星 / 陸域植生 / 光合成量 / 蒸発散量 / ひまわり8号 / リモートセンシング / 環境ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
陸域植生は人為起源の二酸化炭素排出の最も大きな吸収を担うが、その不確実性は極めて大きい。 本研究では、高時間分解能 (10分)を有する気象観測衛星ひまわり8号を陸域植生の光合成量・蒸発散量推定に応用することで、熱波や干ばつ等の極端現象に対する植生の生理応答の理解を試みる。アジア・オセアニア地域におけるストレス応答と枯死リスクの定量化手法を開発し、二酸化炭素吸収量の不確実性の低減に貢献する。
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研究実績の概要 |
日内光合成量推定モデルの考案: 従来の衛星データによる光合成量推定モデルは、一日以上の時間スケールを想定したものである。本研究では日内の光合成量推定を試みるため、従来モデルの適用可能性と改善点を調べた。気象衛星ひまわりの日射量データと地表面温度データと、日本と朝鮮半島の3つの森林サイトと1つの水田サイトの光合成量観測データを用いて実験を行った。その結果、従来モデルは晴天日の昼に過大推定、曇天日の朝夕に過小推定する傾向があることが分かった。これに対し、光合成効率を弱光で高く、強光で飽和させるような関数をモデルに組み込むことでバイアスが大幅に抑えられることが分かった。また、地表面温度データを改良版の光合成量推定モデルに用いることで、猛暑時において植物が高温によるストレスを受けて光合成量が低下する現象をより精緻に再現できることが分かった。 日内蒸発散量の推定: 衛星データによる蒸発散量推定で広く用いられてきたモデル(PT-JPLモデル)の適用可能性を、東アジアとオーストラリアの植生サイト(計31サイト)を対象にして調べた。気象衛星ひまわりの日射量と地表面温度、地表面反射率を入力として、モデル内のパラメータを既定値のまま適用したところ、森林サイトでは概ね良好な推定精度が得られた。その一方で、既存の気候再解析データや衛星ベースの蒸発散量プロダクトと精度比較を行ったところ、農地や半乾燥地で本手法の推定精度が低いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の第一段階である「全天候下における地表面温度の推定手法の開発」は着手したところであり、まだ成果は出ていないが、第二段階の光合成量と蒸発散量の推定が先に順調に進んでおり、特に光合成量推定に関しては、現在成果を論文としてまとめている。計画全体の進捗としては、順調に進んでいると言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
光合成量推定と蒸発散量推定の成果をそれぞれ論文としてまとめて、国際雑誌に投稿する。 全天候下の地表面温度の推定に関しては、プロトタイプの構築と推定パフォーマンスの評価までを行う予定である。また、推定された全天候下の地表面温度を光合成量推定モデルに組み込んだ際のインパクトについても評価する予定である。
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