研究課題/領域番号 |
23K17035
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
チョン 千香子 (加藤千香子) 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70443182)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | りん酸 / 栄養塩 / LC-ICP-MS / 比較可能性 / SIトレーサブル |
研究開始時の研究の概要 |
亜熱帯表層海水中のりん酸の濃度は、気候変動や温暖化等の地球環境問題の影響評価の鍵となる重要な観測項目である。この海域のりん酸は数十~数nmol/Lとごく低濃度であるため、海水中夾雑物の影響が強く分析が難しい。観測の正確さが実証されないまま、観測データ間の数値的な差による評価が先行し、議論に支障を来している。本研究では、ごく低濃度のりん酸の観測の計量学的信頼性を確保するために、独自の優先的分離・増幅技術・高感度検出を組み合わせた新規な超高感度分析技術を開発し、観測技術の妥当性検証を行うとともに、観測データの「差」を長期変動研究に資する「変動」として捉えるための「濃度のものさし」の提供を目指す。
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研究実績の概要 |
亜熱帯表層海水中のりん酸の濃度は、気候変動や温暖化等の地球環境問題の影響評価の鍵となる重要な観測項目である。この海域のりん酸は数十~数nmol/Lとごく低濃度であるため、海水中夾雑物の影響が強く分析が難しい。本研究では、海水中の数nmol/L程度のごく低濃度のりん酸について、独自の優先的分離・高感度検出ができる液体クロマトグラフィー(LC)-融合結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)に、りん酸とモリブデン酸との反応を利用した増幅技術を組み合わせた新規分析法の開発と、それによる高感度型CFAの妥当性検証の実施、ならびにごく低濃度に対応したSIトレーサブルな「濃度のものさし」の整備を目的としている。
今年度は、前段の優先的分離部であるクロマトグラフィーにおいて、りん酸とモリブデン酸との反応を利用した増幅技術を組み込む点に注力し、研究を実施した。クロマトグラフィーによるりん酸分離後にモリブデン酸と反応させるために、プランジャーポンプとT字菅を用いて試薬追加経路を接続導入した。発色反応を用いてりんモリブデン酸の反応が達成され、検出可能であることを確認した。その過程で吸光光度分析の感度上昇がみられたため、有用性について追加検証した。今後、モリブデン酸錯体形成反応の条件の最適化を進め、分析条件を確立して検討内容を纏めるとともに、ICP-MSとの連結による装置最適化を進め、海水試料への適用を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クロマトグラフィーによる分離後にモリブデン酸添加用のラインを追加して、モリブデン酸錯体形成反応の条件の最適化を進めた。吸光光度分析に有用性を見出し、検討に当初の予定より時間をかけたため、年度内にICP-MSと連結した状態での条件検討までは進めなかったが、追加検討については分析化学的な意義があったと考えている。今後、分析条件を確立して検討内容を纏めるとともに、ICP-MSとの連結と海水への適用を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、今年度中盤までにモリブデン酸錯体形成反応の条件の最適化を進め、分析条件を確立して検討内容を纏める。中盤以降はICP-MSとの連結による装置最適化を進め、海水試料への適用を行う予定である。クロマトグラフィーとICP-MSとの連結においては、①装置経路における連続流の達成、②装置感度の最適化方法の検討、③モリブデンを利用したシグナルのばらつきや安定性の検討、④検量線の直線性の検討、⑤定量条件の検討、の順番に進める予定である。今年度中に海水試料への本法の適用までを達成することを目標とする。
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