研究課題/領域番号 |
23K17037
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小林 香苗 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), Young Research Fellow (20908264)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 深海堆積物 / 窒素循環 / 堆積物窒素同位体モデル / 安定同位体比 / 窒素代謝微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
地球表面積の6割を占める深海堆積物では、微生物による地球生態系からの窒素除去が進行している。近年の解析技術の発展により、深海堆積物での窒素除去が従来の想定より遙かに大きいことが明らかにされつつあり、地球規模での窒素循環に占める役割の大きさから注目が集まっている。深海堆積物中の微生物活動は、概して海洋表層の一次生産と陸域からの距離に支配されるが、窒素除去機能を担う微生物活動の分布とその支配要因は未解明である。 本研究では、沈降有機物量の異なる複数の海域を対象に、深海堆積物中の微生物系が駆動する無機窒素循環の評価を通じて、グローバルな深海底における窒素除去評価の基盤的データを得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、地球化学分析(各種窒素化合物の濃度および安定同位体組成)と、微生物の分子生態解析(群集構造および窒素代謝機能遺伝子)を組み合わせて、海洋表層での一次生産量の異なる複数の海域において、深海堆積物中の無機窒素循環を駆動する微生物群集構造と物質フラックスの関係を評価する。 本年度(2023年度)は、日本海溝の複数地点において海溝底の堆積物を採取した。堆積物の各層の間隙水を採取し、アンモニア、亜硝酸、硝酸の濃度を測定した。また、間隙水中のアンモニアの窒素安定同位体比、亜硝酸と硝酸の窒素および酸素安定同位体比、堆積物中の有機物の窒素安定同位体比の分析を行った。各層の微生物群集構造を把握するためにSSU rRNA遺伝子シーケンス解析を行い、窒素循環に関わる、アンモニア酸化細菌やアンモニア酸化アーキア、亜硝酸酸化細菌、脱窒菌、アナモックス細菌の鉛直分布を把握した。 また、堆積物窒素同位体モデルの構築に取り組んだ。モデルに各微生物反応に伴う同位体組成の変動である同位体分別を組み込んだ。対象の海域の、堆積速度、温度、有機物沈降量、実測した有機物濃度、溶存酸素濃度、栄養塩濃度、窒素・酸素安定同位体比のデータを基に、堆積物窒素同位体モデルを用いてそれぞれの窒素代謝の物質フラックスの計算を進めている。 解析した窒素循環に関わる微生物の鉛直分布と、堆積物窒素同位体モデルによって算出された各窒素代謝の物質フラックスを比較し、対象海域の特徴を把握している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、採取したサンプルに関して地球化学分析と、微生物の分子生態解析を計画通りに実施することができた。分析したデータセットについても、モデルを構築してそれぞれの微生物代謝の物質フラックスの計算を進められてる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度構築してきた堆積物窒素同位体モデルを用いて、海洋表層での一次生産量の異なる他の海域についても微生物代謝の物質フラックスの計算を進めていく。物質フラックスの計算結果と、堆積物の各層の微生物群集構造や、窒素循環に関連する代謝遺伝子の深度による分布のデータを比較し、議論をしていく予定である。
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