研究課題/領域番号 |
23K17039
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
神長 輝一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 研究員 (90825176)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 細胞内温度 / 細胞内pH / 蛍光ナノダイヤモンド / 量子センサー / 放射線影響 / 放射線 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、電離放射線が誘発するDNA損傷およびミトコンドリア損傷に起因する、ATP加水分解の亢進と、ミトコンドリア脱共役による温度およびpHの経時変化、そしてその生物学的意義の解明、さらに放射線治療への応用を目指す研究である。本研究の特色は、電離放射線による細胞内の温度、pHという物理・化学的パラメーターへの影響に着目し、その計測のため量子センサーの一種である蛍光ナノダイヤモンドを用い、量子科学技術と放射線影響研究を融合した点である。本研究で得られる知見は、放射線を含む外部ストレスに対する温度、pH変化を介した細胞恒常性維持機構の解明に貢献、がん放射線治療へ応用できると期待される。
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研究実績の概要 |
温度とpHなどの物理化学的パラメーターは、細胞内のタンパク質活性や化学反応速度を変化させる要因であり、微小な変化もシグナルネットワークを介した細胞の恒常性維持に影響を与える。近年、蛍光プローブを用いた細胞内局所領域の温度、pH測定が試みられているが、温度、pH以外の要因による影響を無視できず、長期的観察では褪色が問題となる。さらに、これら蛍光プローブは主に比色法により温度、pHを計測するため、蛍光のクロストークが問題となり複数パラメーターを単一プローブで計測することが困難であった。そこで、本研究では、温度、pH以外とのクロストークが少なく、一切の褪色が生じず、かつ温度とpHを1プローブで計測可能なナノ量子センサーである蛍光ナノダイヤモンド(Fluorescent Nano Diamond:FND)を利用し、まず本年度は①電離放射線は細胞内物理化学的パラメーターにどのような変化を誘発するのか?、②電離放射線、および電離放射線に対する細胞応答が誘発する細胞内物理化学的パラメーター変化はどのような生物学的意義を持つのか?の解明を目指した。本年度は、任意オルガネラへのFND送達を実現するため、複数の導入方法および表面修飾法について検討を行った。さらに、電離放射線は細胞周期遅延を誘発するが、細胞周期依存的な細胞内温度変化が報告されているためOkabe K. et al. Nat. Commun. 3, 705, 2012)、使用する細胞について細胞周期依存的な細胞内温度の変化を明らかにする実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存のステージトップインキュベーターを用いてマルチウェルプレートを保温した場合、製品仕様よりもプレート内の温度ムラが強く、補正に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に続き、まず①電離放射線は細胞内物理化学的パラメーターにどのような変化を誘発するのか?、②電離放射線、および電離放射線に対する細胞応答が誘発する細胞内物理化学的パラメーター変化はどのような生物学的意義を持つのか?の解明を目指す。さらに、年度後半には③電離放射線が誘発する細胞内物理化学的パラメーター変化を利用したがん細胞への放射線増感効果、および正常細胞への防護効果の検討を進める。
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