配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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研究実績の概要 |
非曝気の創エネ処理技術としてメタン発酵と併せて微生物燃料電池(MFC)が盛んに研究されてきた。2つの技術は非曝気で創エネできる汚水処理技術であるが、酸化剤として酸素を用いないため放流水質が活性汚泥に劣る。微生物群集構造解析データが蓄積される一方、処理水の化学物質プロファイルデータは嫌気処理では全く行われていない。本研究では, これらの非曝気処理で分解できるもの・分解できないものを把握し定義することに取り組むものである. 2023年度は、MFC処理前後の有機物プロファイルの特性評価に取り組んだ。MFCの流入水・流出水をサンプリングし、高精度質量分析装置を用いノンターゲット分析(測定された分子の正確な質量から被験物質に含まれる化学物質を網羅的に推定する手法)を行った。MFC処理前後で80%以上減少した化合物は137、50-80%減少した化合物は19, 大きな変化が見られなかった化合物が78であった. 一方, MFC処理の間にかえって増えた、もしくは新たに生成されたとみられる化合物は, それぞれ4化合物, 118化合物であった. 新たに生成されたとみられる化合物には、細胞膜を構成する脂質等が含まれていた. MFC運転の結果においては, 12 時間以上の滞留時間のMFCでCOD濃度がほとんど減少しないにもかかわらず電流生産され続ける現象を観察した。MFCは理論上有機物分解により放出された電子が電極に回収されることで電流生産が生じる技術であることから、この現象は明らかな矛盾であり、微生物バイオフィルム自体が自己消化により有機物を供給すると考えられた. 本年度に示されたLC-MS/MSデータは, MFCが微生物細胞を分解することで得た有機物を電流に転換する仮説を支持する結果である.
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