研究課題/領域番号 |
23K17054
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
近都 浩之 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 研究員 (90865164)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ストロンチウム / 脊椎骨 / ヒドロキシアパタイト / 硬骨魚 / 軟骨魚類 / 重金属 / アパタイト / 生物濃縮 / 環境動態 |
研究開始時の研究の概要 |
同生息域において、海産魚の脊椎骨に含まれるカルシウム (Ca) 濃度は種に依らず同濃度域にあるが、ストロンチウム (Sr)濃度は種に依って濃度域が異なる。さらにその比 (Sr/Ca)は同種内でほぼ一定であるが、種間では異なる値を取る。本研究では採集した海産魚の組織別元素濃度分析、脊椎骨のアパタイト結晶相解析および飼育実験による暴露実験によりSr/Ca比が種特異的になるメカニズムを明らかにする。またその他重金属に関しても種特異性があるかを調べる。
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研究実績の概要 |
海産魚の脊椎骨に含まれるストロンチウム濃度は、種によって濃度域が異なり、カルシウムとストロンチウムの比(Ca/Sr比)を取ると、同一種内では一定の値を取る。本研究ではこのような種差がどのように生じるのかを調べることを目的としている。まずCa/Sr比が異なる魚種であるコモンカスベとヒラメにおいて、骨の無機主成分であるヒドロキシアパタイトの結晶組成の違いによって、ヒドロキシアパタイト内に含有できる金属濃度が異なるのではと考え、Ca/P比を測定した。ヒドロキシアパタイトのCa/P比の理論値は1.67であるが、生体ヒドロキシアパタイトは結晶格子歪み大きくCaが他の金属元素と置換しやすく、Ca/P比が理論値から低くなる傾向があるため、Ca/P比も種特異的であるのではないかと考えられたが、同一種内においてもCa/P比は個体差が大きく種差は見られず、Ca/Sr比との関連性は見られなかった。次に骨の構成成分を運ぶと考えられる血中の無機成分の割合に種による違いがあるのかを調べるため、血中の無機成分を分析した。その結果、コモンカスベやシロエイなどのエイ類では鉄濃度が高く、またショウサイフグでは亜鉛濃度が著しく高いといった種差が見られた。このことから、外環境から取り込まれて血中に存在する重金属濃度の割合の違いが、骨が形成される際の構成成分の重金属濃度の割合の違いに繋がり、Ca/Sr比の種差の要因の一つになるのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多種類の魚種の脊椎骨の無機成分の測定・解析については計画通りに進んでいる。また血中の無機成分分析においても、野外調査で採集した多種類の生きた魚から血液を採取することに成功し、分析を行うことが出来たため、計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き骨の無機成分分析を行い、ストロンチウム以外の重金属についても種差があるのかを解析する。さらに骨のヒドロキシアパタイトの結晶構造解析を行い、結晶構造のストロンチウム濃度の種差との関連を調べる。また、血中だけではなく筋肉などの軟体組織においても無機成分分析を行う。
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