研究課題/領域番号 |
23K17066
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 静岡県工業技術研究所 |
研究代表者 |
菊池 圭祐 静岡県工業技術研究所, 環境エネルギー科, 上席研究員 (90517369)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | コーヒーかす / 活性炭 / 水蒸気賦活 / 黒鉛化 / 触媒 / 白金 / 燃料電池 / 耐久性 |
研究開始時の研究の概要 |
固体高分子形燃料電池は次世代エネルギー源として普及が期待されているが、電極触媒の耐久性向上が課題である。耐久性向上の鍵は、「白金粒子の凝集抑制」と「担体炭素の腐食耐性強化」である。 本研究では、黒鉛結晶性を高めた“コーヒーかす活性炭”のメソ細孔に白金を埋め込むように担持することで、「白金粒子の凝集」と「炭素腐食による白金脱落」を抑制できる高耐久性電極触媒を開発する。
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研究実績の概要 |
飲料工場から入手したコーヒーかすの性状を確認するため、炭化-水蒸気賦活を行って活性炭を作製し、窒素吸着測定から細孔構造を評価した。その結果、従来使用していたコーヒーかすと同等の活性炭となることを確認した。 黒鉛化触媒(Ni、Fe)を添加して様々な温度で作製したコーヒーかす炭について、エックス線回折測定により黒鉛結晶性の発達度合いを評価した。その結果、Feの方が低温から結晶性が発達するが、高温になるにつれてNiの方がよりシャープなピークとなった。これにより黒鉛化触媒としてはNiが適していると判断した。Ni添加による黒鉛化は950℃~1,100℃の間で行うことで進行することを明らかにした。 一方、Niを添加した際の水蒸気賦活により作製される活性炭について、Niを酸洗浄した後の細孔構造を評価した。比表面積についてはNi添加の有無に関わらず同等の値を示したが、細孔分布についてはコーヒーかす活性炭の特徴である4~5nm付近の細孔に加えて数十nmの大きな細孔も確認された。この大きな細孔は、Niを洗浄した後に残る空隙であると考えられる。 白金担持を行う4~5nmの細孔と、ガス拡散性に好影響を与えると推察される十数nmの大きな細孔が発達した細孔構造を有する活性炭を作製できた。 今後は、Ni添加した水蒸気賦活を行った後、950℃~1,100℃の黒鉛化処理を連続的に行い、作製される活性炭のXRDパターンと細孔構造を評価し、黒鉛化処理温度を決定する。また、活性炭を大量に作製し、白金担持方法の検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ni添加した水蒸気賦活を行った後、950℃~1,100℃の黒鉛化処理を連続的に行い、作製される活性炭のXRDパターンと細孔構造を評価し、黒鉛化処理温度を決定するところまでを令和5年度に完了予定であったが、所属機関での停電トラブルにより細孔分布測定機に不具合が生じたこと、炭化炉のヒーターが故障したため新たな炭化炉を移設・条件検討に時間を要したこと等の理由から計画に少し遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
Ni添加した水蒸気賦活を行った後、950℃~1,100℃の黒鉛化処理を連続的に行い、作製される活性炭のXRDパターンと細孔構造を評価し、黒鉛化処理温度を決定する。 活性炭を大量に作製し、遊星ボールミルを用いて1μm以下の粒度まで粉砕を行う。この際、ジルコニア製の容器とビーズが不純物として混入しない条件を見出す必要がある。その後、粉砕した活性炭への白金担持方法の検討を進め、白金の担持量、粒径、分散状態等を評価していく。
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