研究課題/領域番号 |
23K17077
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
中川 香澄 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (40907804)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | インジゴ還元菌 / 微生物燃料電池 / 藍染め / アルカリ / 細胞外電子伝達 / インジゴ / サイクリックボルタンメトリー |
研究開始時の研究の概要 |
エネルギー問題解決のため、微生物を利用して有機物を電気エネルギーに変換する「微生物燃料電池(MFC)」の開発が進められている。 “藍染め”は高アルカリ・嫌気条件下に生息する微生物が非水溶性のインジゴ(有機物)を水溶性のロイコインジゴに還元することにより、染色する技法である。これまでに藍染めを利用したMFCを開発したが、持続性や取得電力などに課題が残った。本研究ではこれまでに取得した微生物におけるインジゴ還元メカニズムを解明・強化し、より高出力なMFCを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
エネルギー問題の解決のため、微生物燃料電池(MFC)の開発が進められているが、取得電力が低いなど課題が多く、実用化には至っていない。従来のMFCには中性pHで生育可能な発電菌が用いられてきた。電解質をアルカリにすることで、高出力なMFCの構築を見込めるが、アルカリ条件下で生存可能な発電菌は報告されていなかった。そこで、申請者は高アルカリで微生物によってインジゴ還元が行われる“藍染め”に着目し、アルカリ型MFCを構築したが、取得電力や持続性の低さから実用化には至らなかった。申請者は藍染液中から多数のインジゴ還元菌を単離しており、このインジゴ還元菌の電子伝達力を改善できれば、MFCの課題を克服できると考えた。 本研究では、強アルカリ(pH 11)の藍染液から独自に単離したインジゴ還元菌であるAlkalibacterium sp. B3F-M6株における細胞外電子伝達(EET)機構を解明し、高出力なアルカリ型微生物燃料電池の構築を目指している。 今年度は新規EET機構を解明するため、UV照射によって、突然変異を導入することを試みた。UV照射距離や照射時間を検討し、その結果、野生株に比べてインジゴ還元力が向上した株を1株得ることができた。変異株のインジゴ還元力は向上したが、野生株より増殖速度が速いことにより、インジゴ還元力が向上したと考えられる。EET機構ではない遺伝子に変異が入った可能性が高いため、今後更なる解析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インジゴ還元力が向上した突然変異株を1株得ることができた。これまでの検討の結果、変異株は野生株より増殖速度が向上している可能性が高く、EET機構に関する変異ではない可能性がある。今後はこの変異株の解析を進めるとともに、引き続き、EET機構に関する遺伝子に変異が入った株を探索する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
得られた変異株の解析と並行して、アゾ還元酵素 AzoAに着目して、新規EET経路の解明を試みる。AzoAはAlkalihalobacillus wakoensis AO1が産生し、NADH依存的にインジゴカルミン(インジゴと同じ骨格を持つ水溶性物質)を還元する酵素である。また、AzoAはキノンを効率よく還元することが報告されている。B3F-M6株においても、アントラキノン(AQ)の添加によってインジゴ還元が促進される。このことから、B3F-M6株は酵素にAzoA、メディエーターとしてAQを用いたEET経路を発達していることが予想される。AzoAとアミノ酸配列相同性を示す遺伝子をB3F-M6株からピックアップし、その遺伝子を大腸菌で発現させ、粗酵素を得る。得られた粗酵素を用いてNAD(P)Hの酸化を指標とした発色試験(WST-3法)によってインジゴ還元力を評価する
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