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気候難民のコストー30年来の未解決問題に挑むー

研究課題

研究課題/領域番号 23K17083
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
研究機関茨城大学

研究代表者

今村 航平  茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 学術振興研究員 (20796114)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワード気候難民 / 福島原発事故 / 強制移住 / 精神的損害 / 経済評価
研究開始時の研究の概要

気候変動や自然災害により移住を強制される人々(気候難民)の発生は気候変動の主要な影響の1つである。気候難民がもたらす経済的コストの評価は1990年代から行われてきたが、強制移住の精神的損害については1人当たりの年収の3倍で評価するという根拠のない設定が、実証データがないことを理由に長年用いられてきた。
本研究では、東日本大震災における福島原発事故で強制移住を余儀なくされた住民が損害賠償訴訟で請求した慰謝料を実証データとして用いることで、気候難民の精神的損害の定量的評価に根拠を与える。日本沿岸域の海面上昇による浸水被害を事例として扱う。本研究の成果は気候難民のコストの推計方法を確立するものとなる。

研究実績の概要

気候変動によって移住を強制されたことによる精神的損害の貨幣価値評価では、実証データがないことを理由に、1人当たりの年収の3倍で評価するという根拠のない設定が長年用いられてきた。本研究は、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島原発事故)で強制移住を余儀なくされた住民が損害賠償訴訟で請求した慰謝料を実証データとして用いることで、それに根拠を与える。具体例として、日本沿岸域の海面上昇に対して堤防建設などの浸水対策を行わなかった場合に移住を強制された住民が被る精神的損害を扱う。本年度は、福島原発事故の損害賠償訴訟で原告側が請求した慰謝料を基にした被害額を推計し、年収の3倍で推計した被害額と比較してどちらが大きいのかを明らかにすることを目的とした。賃金構造基本統計調査から各都道府県の性別年齢層別の1人当たりの年収のデータを収集するとともに、日本各地の裁判所を訪問し福島原発事故の損害賠償訴訟の慰謝料請求額のデータを収集した。その結果、SSP5-RCP8.5のシナリオの場合、2100年の日本沿岸域の海面上昇の浸水影響人口約524万人の精神的損害の被害額は、年収ベースでは約67兆円、慰謝料ベースでは約105兆円と推計された。同様にSSP1-RCP2.6シナリオの場合では、2100年の浸水影響人口約445万人について、年収ベースでは約57兆円、慰謝料ベースでは約89兆円と推計された。これらの結果から、年収を基にした従来の被害額推計方法は過小評価であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度の当初計画では、(1)都道府県別および性年代別の平均賃金データの作成、(2)福島原発事故の損害賠償訴訟の慰謝料請求額の収集、を予定していた。このうち(1)については予定通り完了させたが、(2)については訪問を予定していた裁判所のうち一部に訪問できず、慰謝料請求額のデータが予定よりも収集できなかったため、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

2024年度は、将来の浸水が予測されている地域の住民を対象に、海面上昇による強制移住を仮想した場合の精神的損害の補償として請求する金額を問うアンケート調査を実施することを予定しているため、それを進める。また、昨年度訪問できなかった裁判所に訪問して慰謝料のデータを収集する。昨年度の成果について論文投稿と学会発表を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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