研究課題/領域番号 |
23K17093
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 麻理絵 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80794544)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中東地域研究 / 難民研究 / シリア難民 / 市民社会組織 / 国際難民レジーム / 国際政治学 / 市民社会論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、シリア難民による難民主導の支援枠組みが形成されつつある現状に着目し、その展開について、難民保護をめぐる国際的なレジームと域内独自の論理の双方を参照しつつ明らかにするものである。近年、難民自身による支援枠組みの形成が進んででおり、これらは難民主導型組織(Refugee-led Organisations)として近年注目が集まっている。本研究では、ヨルダンとトルコを対象地域に設定し、難民自身による初期・中長期におけるレジリエンス確保の過程を詳細に描出し、現代中東におけるホスト社会の重層的構造を解明する。最終的には国際的な難民問題の解決に寄与しうる新しいパラダイムを探ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヨルダンとトルコを対象地域としてシリア難民による難民主導型組織の形成と展開を明らかにし、これを一助としながら実現している難民の自発的なレジリエンス確保の過程を描出することである。本年度は、昨年末のヨルダン渡航の際に収集したフィールドデータや書籍を整理しつつ、SNSなどのウェブ上において、難民主導型組織が発信する情報を集めて分析してきた。一部の成果は、分担執筆にて出版されている(「第3章 市民社会ー脱政治化されるヨルダン君主制下NGOsの展開」中村覚編『君主制諸国』ミネルヴァ書房、2023年6月、pp. 73-95.)。ヨルダン国内に留まらず、シリア難民の越境的な活動は中東域内及び域外に及んでおり、彼らのネットワークを明らかにするために、SNSでの発信を精査することは有効であることが改めて明らかになった。本研究の対象としているトルコを始め、域内外に張り巡らされたネットワークを少しずつ解明している段階であり、次回渡航の調査対象の選定も進んでいる。また、シリア難民自身のレジリエンス確保については、彼らが集中する都市部以外すなわち農村部での生存について、主に季節労働であるオリーブ産業に従事する様子を、フィールドワークを下に発表している(Marie Sato, Izumi Izumi, Majed Abu-Zreig, Koichi Unami. “Linking population fluidity and olive production in Jordan and Syria”, Desert Technology XV (DTXV) International Conference on Arid Land, 3-6 June 2023, Dead Sea, Jordan.) 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はこれまでのフィールドワークにて収集したフィールドデータや一次資料、書籍の整理、及びSNS上での研究対象による発信の分析を実施してきた。さらなる調査実施のための渡航が出来なかったため、来年度により詳細な調査渡航を予定し、データを補いたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はヨルダンをはじめ、トルコへの渡航を予定し、シリア難民自身による自発的な組織形成の実態に迫る調査を実施する予定である。特に、トルコにおけるシリアとの越境的な支援の実態については、彼らが保持する広範なネットワークとともに精査する必要がある。シリア難民の避難生活は10年以上が経過しており、そのレジリエンスの発揮は過渡期を迎えており、彼らの生活も今や避難先に定着しつつある。こうした中で、彼らの自発的な組織の目指すところは様々に変化していることが要され、その実態を明らかにしていく。また、今般のガザ戦争により、ヨルダンを始め域内の市民社会空間では様々な動きが見られており、こうした動きとどのように難民自身の主導的な活動が共鳴あるいは相互作用しているのか(あるいはいないのか)についても注視していく。
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