研究課題/領域番号 |
23K17098
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田代 藍 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任講師 (40812962)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヘルスツーリズム / 環境疫学 / 健康地理学 / 健康行動学 / 自然資源管理学 / 地域研究 / Nature-based Solutions / 復興政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、大学生を対象とし東北沿岸被災地におけるヘルスツーリズムによる心身の健康効果を検証する。ヘルスツーリズムを通して東北の自然豊かな地域を訪れ、自然資源や景観を味わうことで、健康を回復・増進・保持する観光形態の可能性を探る。ヘルツーリズムの健康への効果を、因果関係を踏まえて検証することで、これまで不明瞭となっていた被災地でのヘルスツーリズムの健康と自然環境の両面の価値を明らかにし、既存の復興政策への打開策を図る。
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研究実績の概要 |
本研究では、東北沿岸被災地におけるヘルスツーリズムによる心身の健康効果を検証することを目的としている。ヘルスツーリズムを通して東北の自然豊かな地域を訪れ、自然資源や景観を味わうことで、健康を回復・増進・保持する観光形態の可能性を探ることを目指している。 本年度は、仙台市にある複数の大学を訪問し、聞き取り調査と調査協力要請のための打合せを行った。東北沿岸被災地におけるヘルスツーリズムを通した、参加者の心身の健康効果を検証し、自然環境を享受することによる参加者への健康効果との関連について因果関係も含め明らかにするため、今後の研究デザイン、因果媒介分析の手法・手順等を研究協力者と話し合った。また、当初の実施計画にある、①自然資源データの整理:自然環境、トレイルに関する自然資源のデータを取得・整理し地図を作成した。 具体的な東北沿岸被災地におけるヘルスツーリズムの対象とするプログラムを探るため、現地調査を実施した。東日本大震災後の沿岸被災地で実施されている子供向けの自然体験プログラムとヘルツーリズムとの親和性及び応用可能性を探るため、仙台市を中心とした沿岸被災地にある伝承館、311メモリアルネットワーク等の訪問と実施者への聞取り調査を行った。さらに先行研究としてヘルスツーリズムの健康効果に関するレビューを行った。分析内容は論文にまとめ、国際誌での査読の段階にある。 また、途中経過報告として、国際会議で口頭発表を行い、海外の研究者からの本研究に関する世界的学術的位置づけ、意義に関するフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度行った予備調査を踏まえ、R6年度は研究実施計画にある、2つ(②と③)をメインに実施する。 ②アンケート調査の実施:ヘルスツーリズムを通した、自然とのつながり、自然資源の選好、トレイルの関心、利他性、自然環境での活動・滞在による心身の健康効果(メンタルヘルス・活動時間、活動量、活動の種類)等を調査 ③東北被災地沿岸市町で大学生を対象にヘルスツーリズムを実施。参加前後での心身の健康状態の比較を行う(心拍数、血圧測定の実施等)。 アンケート調査にいたっては、ヘルスツーリズムの指標(精神機能;知覚; 精神的・物質的側面 QOL;社会参加;日常生活機能等)の整理と適用する条件などを対象地・対象者の実情を考慮して実施する。 加えてR6年度は継続的な論文投稿を進める。国際学会にも参加し、自然と健康に関する海外の最新のトレンドと研究者との交流を深め、フィードバックを得る。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、先行研究と予備調査が主な調査目的だった。ヘルスツーリズムに関する傾向分析を行い、当初予定していたレビュー論文の投稿をした。研究実施計画に関しては、予定通り、①自然資源データの整理:自然環境、トレイルに関する自然資源のデータを取得、整理し地図を作成した。ヘルスツーリズムと復興に関するアンケート調査については、対象者を変更し、対象者を大学生に限定せず、被災地の小中高生も含めた幅広い層で実施する方向で検討中である。また対象者の年齢層によって自然体験プログラム、トレイル等の自然に触れ合うプログラムが変わってくるため、個々に応じたアンケートと研究デザインの再考が必要になる。ヘルスツーリズムを通した自然のふれあいと健康との因果関係を示すのは、他の共変量となる変数の特定や寄与を明確にする必要があるため、そのあたりの考慮すべき項目に留意しながら研究を進めていく予定である。
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