研究課題/領域番号 |
23K17104
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原 将也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00823147)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | キャッサバ / 食料主権 / 栽培指針 / デンプン / 種茎 / イモ / 生産―消費 / 食料不足 / 嗜好 / 栽培技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、グローバルな構造が前提となった現代において、地域住民が主体的に作物を選び、みずからの食を決定するという「食料主権」のあり方について、熱帯作物キャッサバの生産―消費を事例として実証的に探究していく。グローバルな農産物市場システムの形成とともに、農家は国家や国際社会によって、自身の食料よりも市場価値のある作物を生産することを求められるようになり、人びとの暮らしは不安定化している。地域の文脈にあった食料と農業システムを自決する食料主権の確立に向けて、キャッサバを主体的に栽培する人びとの実践を検証し、地域固有の食料主権のあり方を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究ではザンビアと日本を調査地として、グローバルにひろがる熱帯作物キャッサバの生産―消費の実態、その歴史的社会的な背景の解明から、地域社会における食料主権のあり方について考えることを目的としている。 2023年度には群馬県において、キャッサバイモの収穫方法や翌年の種茎の確保技術に関して聞き取り調査と圃場調査を実施した。日本でキャッサバはマイナークロップであり、その栽培技術だけでなく、消費方法についても知られていない。協力農家らはキャッサバの認知度向上に努めているが、収穫後のイモの調理方法を伝えることが難しいと悩んでいた。本研究ではキャッサバの栽培方法を社会に還元することにしていたが、それだけでなく消費方法についても、広く社会に共有することが重要であると認識した。今後、農家と協働でそれらの情報提供を実践していく。これまでの成果より、日本におけるキャッサバ栽培方法について、栽培指針ともなりうる論考を執筆し、次年度に掲載される予定である。 現在、温帯日本で栽培されているキャッサバの多くは、沖縄県から入手されている。沖縄県では、キャッサバは戦時中に保存用食料のサツマイモやソテツのデンプンの補助として栽培されていた。それらが現在まで、各農家によって細々と栽培されてきたことがわかった。 またザンビアでは、焼畑を開墾して圃場を整備し、イモの収穫技術に関する圃場実験を開始している。現地の協力農家と連絡を密に取り、次年度以降、イモの収穫量調査を実施する予定にしている。ザンビアでは基幹食料のトウモロコシの在庫が少なくなる時期に食料不足が発生し、こうしたときにキャッサバが地域内で流通し、食料不足を緩和している。温帯日本やサバンナ帯のザンビアにおいて、キャッサバは食料不足を補う作物としてひろがり、現在では地域社会で浸透しつつあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本とザンビアにおいて、キャッサバ栽培方法の定量的調査を開始することができており、生産―消費の実態把握に関する調査は順調に進んでいる。また当初は4年目以降に開始する予定であったキャッサバ栽培方法や消費方法の社会への共有について、協力農家らと話が進んでおり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降には、日本とザンビアで実施している圃場実験を継続し、種茎の管理やイモの収穫量に関する定量データをさらに取得する。またキャッサバの消費に関する聞き取り調査を各調査地で実施する。温帯日本でキャッサバが栽培された歴史的社会的な経緯については、2023年度にその一端が明らかになったため、戦争や飢饉(食料不足)というイベントに焦点をあてて、さらなる文献・情報収集のほか、可能であれば協力者を探し、聞き取り調査を実施する。
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