研究課題/領域番号 |
23K17112
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松原 加奈 東京理科大学, 経営学部国際デザイン経営学科, 助教 (80962547)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | エチオピア / 雇用システム / 製造業 / 賃金 / 労働組合 |
研究開始時の研究の概要 |
現在エチオピアでは、一次産品への依存を脱却して製造業主導に転換することが課題となっている。本研究では、同国の製造業の雇用に焦点を当て、賃金・採用・期間等の雇用諸制度に着目し、それらが相互に補完し合うことで構成される雇用システムの特徴を解明することを目的とする。特に、国際社会からの外生的な影響と国内の内生的な形成とがどのように複合して雇用システムを特徴づけているのかを解明することを目指す。 本研究では同国の豊富な家畜資源を活用でき、雇用創出効果が期待される皮革産業の企業を対象として現地調査を行うとともに、援助機関や外資系企業による影響を捉えるため、文献調査によって必要なデータを補完する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、エチオピアの製造業の雇用諸制度への国際社会からの外生的な影響及び内生的に形成された同制度の諸要素、それらの複合に着目しながら、雇用諸制度の相互の補完関係を考察し、雇用システムとその特徴を明らかにすることである。アフリカ諸国では製造業が長期に停滞を続け、産業・労働研究の中心は主要産業である農業または鉱業であった。しかし、2000年代の一次産品に依拠した急速な経済成長の波及により、製造業の企業が発展し始めている。これにより、製造業に関する企業研究も進められているが、各国の雇用諸制度の研究は断片的なものに留まり、そのためこれらの制度と密接な関係にある雇用システムに関する研究も限られている。
初年度である2023年度の成果は次の通りである。第一に、2024年3月エチオピアに渡航し、現地調査を実施した。エチオピア国内の治安状況の悪化により、国内製造業全体が落ち込んでいた。そのなかで、企業の賃金制度や労働者の労働環境にかかわる労働組合の役割について、雇用主と労働者両方から聞き取ることができた。賃金決定において、政情不安のなかでも労働者の民族出自は賃金には関係がなく、技能を得ると賃金がある一定までは上昇することが明らかになった。第二に、上記の調査結果をエチオピア国内に居住する大使館職員やJICA職員などの邦人に対して報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度はエチオピアで現地調査を実施することができた。そこでは以下二点に注力した。一点目は、国際機関や国内の政府機関からの調査企業への関与について明らかにするため、エチオピアの国立図書館で文献収集を実施した。二点目は、現地調査において、新たな調査企業を選定するとともに、これまで調査を実施してきた企業も再訪し、企業の賃金制度や労働者の労働環境にかかわる労働組合の役割について聞き取り調査を行った。2023年度は研究計画で予定していた調査内容を進めることができたため、研究が順調に進捗していると結論づけることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度と2025年度は主にフィールドワークによる調査を実施し、データ分析を行う。2023年度に新規で調査を開始した企業と2016年から調査を継続している企業にて、調査を実施する。途中経過については、2024年度にナイル・エチオピア学会、2025年度にイギリスの開発学会と日本アフリカ学会で口頭発表を行う。そこでの議論を発展させ、賃金制度に焦点を当て、学術雑誌へ投稿する。また、2024年度はアフリカ経済に関する書籍の一部、特に労働に焦点を当てた論考を担当し、刊行予定である。
2026年度は、2025年度までのフィールドワークにおいて不足した情報を収集した後、ここまでの研究成果をまとめる。労働組合と雇用諸制度の関係について、雇用システムの包括的分析について、それぞれ国際誌への論文投稿を目指す。
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