研究課題/領域番号 |
23K17140
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
里上 三保子 創価大学, 経営学部, 准教授 (20845391)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ジェンダー / ダイバーシティ・マネジメント / 比較制度分析 / コーポレート・ガバナンス / 移行経済 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業内におけるジェンダーバランスが企業の持続的成長にとって望ましい形へと改善していくためには、何が必要なのかについて明らかにすることを目的とするものである。本研究では比較制度研究という手法で接近する。対象地域は、主にドイツの旧東独・旧西独地域である。両地域は公式の制度枠組みは同一であるが、女性労働について東西分断の時代に対照的な経験を有しており、企業内のジェンダーバランスについても非常に興味深い様相を呈している。共通の枠組みと異なる背景という条件で比較研究をすることにより、企業内におけるジェンダーバランスがどのような要因によって決まるのかという問題の本質に接近するものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題のテーマは「企業内におけるジェンダーバランスの比較研究:東西ドイツを事例として」であり、初年度はまず1つ目にドイツ会社役員の人的資源多様性に見られる地域間格差を検証した。ドイツ国内を旧西独地域・旧東独地域・ベルリンの3地域に分け、役員の人的資源多様性がどのように異なるのかについて分析を行い、これは一橋大学経済研究所の岩﨑一郎教授との共同研究で行った。検証に際しては、オービス(ORBIS)企業データベースを実証分析のデータ源として採用した。このドイツ企業65,745社を対象とする実証分析は、旧西独企業との比較において、ベルリン及び旧東独企業は女性役員の登用により積極的であることを強く示唆した。また、ベルリン企業が採用する会社役員の国籍多様性は、旧西独企業よりもより大きい一方、旧東独企業のそれはベルリン企業や旧西独企業より小さい傾向にあることも確認した。加えて本稿の実証結果は、若手人材の役員登用という点で、ベルリン及び旧東独企業は旧西独企業よりもより積極的な人事政策を展開している事実も明らかにした。本研究の内容については9月に社会労働研究会で報告し、さらに3月に開催された京都大学経済研究所・一橋大学経済研究所共同利用共同研究拠点プロジェクト研究合同開催京都ワークショップ「経済制裁・新興市場・企業経営」において発表を行った。そしてこの研究成果については国際ジャーナルに投稿中であり、9月にセルビアで開催されるThe 18th Biannual Conference of EACESでも報告予定である。 また、企業におけるジェンダーバランスには国の政策が大きくかかわることから、労働市場における国家主導システムの多様性についても研究を進めており、これについても11月に韓国で開催されたAECF2023での報告など、国際学会を中心に報告を重ね、研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績にもあるとおり、ドイツ企業の役員の多様性に関する比較分析についてすでに1つの論文がまとまっている状態であり、ここで得られた知見をもとにして進展させていくことが出来る状態であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はドイツの研究者の協力を仰ぎながら、企業におけるジェンダーバランスに関するインタビュー調査などを実施する予定である。具体的な内容としては、(1)企業の採用に際してジェンダーをどのように考えているか、(2)昇進についてジェンダー問題をどのように扱っているか、(3)女性が働くことについて男性との違いはあると考えているか、などの点について聞き取り調査を行い、地域間で差異があるのか、差異があるとするとそれどこに起因するのかについて検討を進めていく予定である。
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