研究課題/領域番号 |
23K17157
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
吉田 博則 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (50728087)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | アップサイクリング / デジタルファブリケーション / 非規格材 / 端切れ / CLIP / 家具 / リサイクル / コンピュテーショナルデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
近代的なモノづくりでは規格化された部材を用いることで設計の品質を満たし効率的な生産を達成した一方,不揃いな木材や壊れた家具のパーツといった規格に適さない非規格材は積極的に扱われない.本研究は非規格材の持つ固有性に着目し,それをできる限り保持しつつ家具等の構造材として利用する設計および製作手法の開発をする.具体的には 1. 三次元スキャン等での形状やその他特徴を取得する技術,そして 2. 得られた特徴を用いた接続部の設計および製作手法を開発し,3. 実際の家具やインテリア等の構造物に応用する.
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研究実績の概要 |
実績として大きく分けて二つあり,一つは非規格材で構造物を制作する際の,自由度の高い接合部の設計および製作手法の開発および枝材を用いた実証,二つはより多様な非規格材として家具パーツや布(端切れ)を用いた設計,製作手法である.
1つ目の研究では接続部の意匠の自由度の高さ,および接続部のメス型を製作しパーツをレジンで一体成型する製作方法を提案した.素材として枝を用い,接続部の生成手法としてConvOccNetおよびPoint2Meshを用いた.昨年度の12月に尾道市のギャラリーにて展示したオブジェを,本年度はロサンジェルスのBaert Galleryにて展示した.また継続研究として,3次元データをスケルトンとその各点に埋め込んだベクトルにエンコード・デコードする手法,および型化する際の自動化を開発した.
2つ目の成果として,様々な対象に拡張した研究がある.そのうちの一つは家具のパーツを非規格材として扱い,LLMを用いて部材の交換を支援する手法を開発した.具体的には既存の3Dモデルのパーツを交換することで新しい3Dモデルを作成し,その結果を可視化してユーザーに提示するシステムを開発した.構造の評価ではCLIPと幾何学的な損失関数を組み合わせて行う手法と,fine tuningを行ったCLIP単体で行う手法の二つを提案した.fine tuningによってこれまで行われてこなかった家具の構造に関するCLIPの理解向上が確認された.また服飾製作の際に発生する端切れ布を用いたモザイクアート設計・製作手法を開発,実証した.まず作成したいターゲット画像についてモザイク化,現職処理等の画像処理をおこなう.つぎに似た色やテクスチャを持つセルを結合し, パーツを生成する. その後, パーツごとに最も類似度が高い端切れ及びその部位を特定し,それらを実際に制作した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた非規格材として枝材を用いた手法については概ね予定通り開発でき,実際の構造物の製作で実証され,さらに国内外でのギャラリー展示も行った.また木材学会での発表もおこなったため,本提案については十分な成果を満たしたと考えた.
さらに昨年度は非規格材として枝のみならず,手元にある壊れた家具であったり,産業で発生する端材に着目し,システムの開発や評価をおこなった.そのうち前者については2024年6月に国際学会で発表予定であり,後者も同月の学会発表を予定している.
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今後の研究の推進方策 |
昨年の端材を用いたプロジェクトを発展させ,素材はフローリング製造時の端材を用いてた吸音パネルの設計および製作手法に取り組む予定である.また接続部の生成手法については,多様な樹種を用いた家具の接続部のカスタマイズ手法について取り組む予定である.どちらも木材であるが,捨てられるか活用されていない素材に着目した事例となる.
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