研究課題/領域番号 |
23K17169
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
野口 康人 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (30823497)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 遠隔ブラウジング / 360°カメラ / セレンディピティ / 複合現実感 / 図書館 / 偶然的な本との出会い |
研究開始時の研究の概要 |
図書館が利用者の館内利用を制限した場合,利用者にとって図書館の蔵書を把握する手段はオンライン検索システムに大きく依存することとなり,図書との偶然的な出会いや意外な発見(セレンディピティ)が得られにくいという問題が生じる.本研究では2Dカメラ・ディスプレイおよび360°カメラ・HMDを用いた遠隔ブラウジングシステムを実現することにより,実際の来館時と同等以上のセレンディピティが得られる図書館利用システムを開発する.さらに排架資料の位置に合わせて従来の現実世界のブラウジングにはない付加的情報を重畳表示することで,従来のブラウジングにはない情報提示の手法を検討・実現する.
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研究実績の概要 |
図書館利用者は借りたい図書のテーマが決まってさえいれば,図書館で主題ごとに並んだ資料を眺める(ブラウジングする)ことによって来館する前には想像もしていなかった図書や資料と出会う(セレンディピティ)ことができる.コロナ禍の最初期のように図書館に利用者が足を運べない状況になるとブラウジングも満足にできず,セレンディピティが減少する.本研究においてはまず遠隔地から図書館内に配置したロボットにアクセスし自由に操作できるようにすることで遠隔ブラウジングを実現(基本システム)することを目指している.続いて,遠隔のアクセスにおいてもセレンディピティを減少させないばかりでなく,実際の来館時よりも多くのセレンディピティが得られるような図書館利用システム(拡張システム)の実現を目指す.研究計画時には基本システムの開発実装,評価に2年,拡張システムの設計,開発,評価に2年,最後の年度に成果発表という形で構想している.初年度である2023年度では基本システムのプロトタイプシステムの開発実装,評価を行った.この結果,現在抱える課題として「移動ロボット自体の操作性の問題」,「他利用者のプライバシーへの配慮」,「偶発的な事故への懸念」を明らかにした[1].そこで,移動ロボットの操作性の問題として挙げられた「カメラ位置の高さの可動性」,「操作インターフェースの直感的な簡易さ」,「操作に対する応答スピード」といった課題を克服する代替システムの基盤としてテレプレゼンスロボットを購入した.今後はこのロボットを中心に,360°カメラの搭載,360°カメラ映像のHMDによる映像提示,ロボットの移動操作機能を実装していく予定である.[1] 野口康人. 図書館における360°カメラを用いた遠隔ブラウジング手法の評価. 第71回日本図書館情報学会研究大会. 2023年10月8日.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の所属の変更による多少の研究進捗の遅延があるものの,もともと進めていたシステム実装の知見があることもあり,概ね順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目である2024年度は計画時の通りに進めていく.今後の展望としては,現在あるプロトタイプシステムを改良し,新たに購入したテレプレゼンスロボットを基盤に基本システムを完成させ,その評価実験を行なっていく.実際に実験協力者に書架の前に配置したロボットを移動操作してもらい,システムの可用性,利便性,使用感,印象等について評価する.ロボットに搭載した360°カメラ映像をHMDで出力し,実験協力者はそれを見ながら書架上の図書の背表紙を自由に眺めることができる見込みである.基本システムの評価実験を行うことでシステムが抱える課題や問題点を明らかにし,より使いやすいシステムを目指して改良を行なっていく予定である.
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