研究課題/領域番号 |
23K17200
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 政友 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (30844419)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | HepG2 / APAP / 単一分析 / 薬物代謝 / マルチオミクス解析 / ヒト初代肝細胞 / 質量分析 / 薬物性肝障害 |
研究開始時の研究の概要 |
薬物性肝障害(DILI)リスクの予測性能を向上させるためには,ヒトin vivo肝組織に近い生理機能を有するヒト初代肝細胞を用いた質量分析マルチオミクス解析が有用である.一方,従来の汎用的な質量分析オミクス計測では,技術的限界から 1×10^6個程度の肝細胞が必要であるため,継代培養のできない高価なヒト初代肝細胞を用いたマルチオミクス解析の実施には至っていない.本研究では1×10^4個のヒト初代肝細胞(従来の100分の1)を用いた質量分析マルチオミクス解析システムを構築し,薬物ごとに異なる肝毒性発症を正確に評価・予測することのできるマルチバイオマーカーの発見と発症機序の解明を目指す.
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研究実績の概要 |
今年度は,内生代謝,薬物代謝情報を単一分析で包括的に取得可能な前処理・分析条件の検討を実施した.条件検討に用いた代謝物は,生体内で存在することが知られている親水性代謝物と脂質の中から60種類,そして,薬物とその代謝物として10種類の合計70種類の代謝物を選定した.はじめに,前処理条件の検討を行った.具体的には,抽出に用いる溶媒 (アセトニトリルやメタノール,イソプロパノールなどの有機溶媒と水との混合溶液),抽出工程の最適化,再溶解溶媒 (初期移動相条件に合致した溶媒組成) の検討を実施した.続いて,分析条件 (初期移動相条件,グラジエント条件,LC-MSに導入するサンプル量など) の最適化を行った.その結果,選定した70種類の代謝物情報を単一分析で包括的に取得できる条件を見出した.さらに,最適化した前処理・分析条件を用いて,肝腫瘍細胞株HepG2にアセトアミノフェン (APAP) を曝露したサンプルを分析したところ,内生代謝物,APAP,およびその代謝物を含む約400種類の代謝物情報を一度に取得することができた.分析することができた代謝物として,両性イオンであるアミノ酸やその誘導体,陽イオン性代謝物であるヌクレオシドや核酸塩基,陰イオン性代謝物である有機酸やヌクレオチド,そして脂質としては,トリアシルグリセロール (TG) などに代表される中性脂質,ホスファチジルコリン (PC) やフォスファチジルエタノールアミン (PE) などのリン脂質,セラミド (Cer) やスフィンゴミエリン (SM) などのスフィンゴ脂質などであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標として掲げていた『内生代謝,薬物代謝情報を単一分析で包括的に取得可能な前処理・分析条件の検討』を滞りなく進めることができており,当初の計画通りに研究が進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
内生代謝,薬物代謝情報を単一分析で包括的に取得可能な前処理・分析条件が確立できたことから,今後は当該前処理・分析条件を用いてヒト初代肝細胞 (PHH) に様々な薬物を曝露したサンプルのマルチオミクス計測を実施する.得られた代謝物情報に基づいて各薬物の作用機序推定を実施するとともに,当該分析手法の有用性について検証する.
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