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極小化ビーズを用いた顆粒球・ 単球除去による肺動脈性肺高血 圧症の新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K17201
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分90110:生体医工学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

村山 豪  順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (80850908)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード肺動脈性肺高血圧症 / 単球 / 顆粒球 / 顆粒球単球吸着除去療法 / 動物モデル / IL-10 / 顆粒球単球除去 / ラットモデル
研究開始時の研究の概要

肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension : PAH)は原因不明・予後不良の難治性疾患である。PAHの病態増悪に肺動脈周囲に浸潤した単球や好中球の関与が指摘されている。我々は顆粒球単球吸着除去療法(Granulocyte and monocyte adsorption apheresis: GMA)に着目し、PAH誘導動物モデルにGMAを施行することでPAH病態が抑制されることを見出した。そこで本研究では、新型GMAカラムを用いて、GMAが生体に及ぼす作用の解明と、GMAによるPAH病態の誘導抑制のメカニズムについて明らかにすることを目的とする。

研究実績の概要

肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension : PAH)は原因不明・予後不良の難治性疾患である。PAHの病態増悪に肺動脈周囲に浸潤した単球や好中球の関与が指摘されている。本研究は顆粒球単球吸着除去療法(Granulocyte and monocyte adsorption apheresis: GMA)に着目し、ビーズサイズを極小にすることで吸着効率を更に高めた新型GMAカラムを使用してGMAを行い(GMA300)、炎症誘導薬剤であるモノクロタリン(MCT)誘導PAHラットモデルに対してGMAを施行した結果、GMA施行群でPAH病態の改善が見られ、GMAによる顆粒球・単球除去がPAH病態誘導を抑制する可能性が示された。
今年度は、抗VEGF受容体拮抗薬Sugen5416+低酸素で誘導されるPAHラットモデル(SuHx)でもGMAによる改善効果を評価した。MCTモデル同様、SuHxモデルでもPAH病態の改善傾向は得られたが、GMA非施行と比較して有意な差を得られなかった。その一方で、GMA300の機能評価目的に、GMA300を1回使用した後の骨髄細胞の経時的変化を評価した結果、GMA300後7日でNewly Formed B細胞(NFB)という幼弱なB細胞サブセットが有意に増加することが示された。NFBの機能評価を目的に薬剤誘導腸炎モデルを使用した結果、GMA300で腸炎は抑制された。またNFBは末梢血B細胞と比較して有意にIL-10を産生し、養子移入で腸炎部位に集積することが判明した。今後はGMA300で誘導される免疫抑制能を持つNFBの機能評価を行う。またPAH病態をNFBが改善し得るのか改めて評価を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、PAH誘導動物モデルとしてMCTモデルとSuHxモデルを使用した。両モデルとも誘導に約1ヵ月を要するが、誘導過程で死亡する個体も存在する。またGMA300も、麻酔下でラットから送血/返血用に末梢静脈にカテーテルを留置し体外循環を行うため、手技による偶発的な死亡も見られる。このため、比較実験に必要なサンプル数を確保するまでに多くの時間を要した。また、今年度から体外循環自体によるPAH病態への影響も考慮して、ビーズを含まないshamカラムによるGMAも施行したことで、GMA非施行群、GMA300群、sham群という3群のサンプルが必要になったことでより時間を要することとなった。MCT / SuHx両モデルで、shamとGMA300でPAH病態への改善効果に有意な差を認めなくなったが、この結果については、上述の通り十分なサンプル数で比較できていない可能性が考慮される。
またGMA300後7日目にNFBが増加すること、NFBが炎症部位に集積しIL-10産生を行い炎症病態を改善する可能性があることから、GMA300による免疫抑制効果が高いのはGMA施行後7日目以降であることが予測される。PAH誘導モデルは、約1ヵ月に渡って病態が進行するため、10日で完成する腸炎誘導モデルと比較して慢性的な経過で発症する。我々はPAH誘導モデルに対して誘導開始後1週間、2週間、3週間と1週ごとにGMA300を行ったため、急激に増加し抗炎症効果を発揮するNFBの効能が十分に発揮されなかった可能性がある。改めてPAH誘導モデルに対してGMA300が効果的と考えられるプロトコールを検討する必要がある。

今後の研究の推進方策

NFBは急性発症モデルである腸炎誘導ラットにおいてGMA300とNFB養子移入共に腸炎が改善されることが示された。また、GMA300では単球が施行後1時間で回復するなど、末梢血からの持続的な単球/顆粒球除去がGMAの本質ではなく、一過性の細胞除去とそれに反応した骨髄新生によるNF-B誘導が重要であるという新たな知見を得た。
このため、GMAがPAHを改善するのかを検証するためには、まずNFBがPAH誘導抑制に効果を発揮するのかを確認する必要性がある。つまり、PAH非誘導ラットにGMA300を施行し誘導された十分量のNFBを、PAH誘導ラットに持続的に養子移入し、PAH病態誘導抑制を確認する。NFB養子移入によってPAH誘導モデルが改善された場合は、NFBを最大限誘導できるGMA300の施行プロトコールを検証する。
NFBはGMA300後の経時的な評価で、評価範囲1週間以内において施行1週間後で最大に増加した。GMA300の効果を最も享受するためには、GMAによるNFBが最大に増加する期間を見出し、且つ、継続するGMA300によってNFBが持続的に誘導・維持されるGMA施行回数を見出すことが必要である。NFBを最大限・持続的に増加させるGMA300プロトコールに則り、PAH誘導モデルにGMAを施行しPAH病態が改善するか、sham群、GMA非施行群と比較し証明する。
また末梢血細胞の一過性除去がNFB誘導に有効であることから、単球の完全除去が可能な薬剤であるクロドロネート内包リポソーム(Clodronate-Liposome:Clo-Lip)を用いて、少量Clo-Lipによる単球一過性除去を再現しNFBを誘導できるかを検証する。本邦においてGMA療法を行える施設は限られており、治療効果を享受できない患者が存在することから、少量Clo-LipでPAH誘導が軽減されるかを検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Enhanced GATA4 expression in senescent systemic lupus erythematosus monocytes promotes high levels of IFNα production2024

    • 著者名/発表者名
      Taiga Kuga, Asako Chiba, Goh Murayama, Kosuke Hosomi, Tomoya Nakagawa, Yoshiyuki Yahagi, Daisuke Noto, Makio Kusaoi, Fuminori Kawano, Ken Yamaji, Naoto Tamura, Sachiko Miyake
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 15 ページ: 1320444-1320444

    • DOI

      10.3389/fimmu.2024.1320444

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of the induction of humoral and cellular immunity by third vaccination for SARS-CoV-22024

    • 著者名/発表者名
      Murayama Goh、Kusaoi Makio、Horiuchi Yuki、Tabe Yoko、Naito Toshio、Ito Suminobu、Yamaji Ken、Tamura Naoto
    • 雑誌名

      Journal of Infection and Chemotherapy

      巻: Online ahead of print. 号: 10 ページ: 1021-1027

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2024.03.021

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 小径化ビーズカラムを用いた顆粒球・単球吸着療法が免疫担当細胞に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      西岡雄仁 村山豪 草生真規雄 武政大地 久我大雅 萩原通友 齋藤拓海  金田健太 山路健 田村直人
    • 学会等名
      第44回日本アフェレシス学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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