研究課題/領域番号 |
23K17203
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
山本 哲志 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (50650892)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / 18誘導心電図 / 心機能障害 |
研究開始時の研究の概要 |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の最大の死因は心筋障害に伴う心不全死である。心電図は心筋障害を検出できる検査法だが、DMD患者では無症状に心電図異常を認めるため臨床的意義が不明で、心電図がDMD患者の管理に活用されてこなかった。αアクチニン3は心筋に発現する構造蛋白で、αアクチニン3欠損DMD患者が早期に心筋障害をきたすことを報告した。つまりαアクチニン3がDMDの心電図に影響し、心電図異常の臨床的意義解明の重要なてがかりになると考え、従来法の12誘導心電図よりも詳細に心臓全体を記録できる18誘導心電図を用い、DMD患者においてαアクチニン3欠損が及ぼす心電図への影響の解明である。
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研究実績の概要 |
DMDに関する多くの研究と発表論文が直近の成果のみ記載する。 ①337人のDMDを対象に血中のCK、運動機能、呼吸機能の自然歴を報告した。Muscle Nerve. 2024 May;69(5):604-612. doi: 10.1002/mus.28073. Epub 2024 Mar 21. ②心電図のR波高は正常人では大きな変化が無いが、DMDでは年齢とともに低下していくこと判明した。また低下の程度も定率ではなく心機能は低下する2年前に急激な低下を示し、心機能低下の予兆を心電図で初めてとらえた。その内容をJournal of Cardiologyに投稿し掲載されている。J Cardiol. 2023 Nov;82(5):363-370. ③心筋に発現する構造蛋白であるαアクチニン3が欠損したDMD患者は、早期に心筋障害を生じることを初めて示した論文で、この成果をもとに本研究を実行する。J Card Fail. 2020;26:841-848. ④DMD患者の心筋障害の発生と遺伝子異常部位との関係を報告した。この研究はCirculationという超一流誌に採択されただけでなく、Editorから申請者の解析の視点がこれまでになく病態との関連を適切に検討したもので内容が非常に高く評価され要旨が特別に動画で掲載(https://www.youtube.com/watch?v=K3Zu6Gmz5DI)されている。 Circulation: Genomic and Precision Medicine2018;11:e001782.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、αアクチニン3欠損DMD患者の決定、心電図データ収集、臨床データ・遺伝子変異との関連をF検定、t検定、χ2(またはFisher)検定、回帰分析、カプランマイヤーカーブを用いて行った。また心電図計測値の経年変化と臨床データーとの比較を行ったところ、合成18誘導心電図のR波高は正常人では大きな変化が無いが、DMDでは年齢とともに低下していくこと判明した。また低下の程度も定率ではなく心機能は低下する2年前に急激な低下を示し、心機能低下の予兆を心電図で初めてとらえた。その内容をJournal of Cardiologyに投稿し掲載されている。J Cardiol. 2023 Nov;82(5):363-370.
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今後の研究の推進方策 |
心電図の詳細な検討を通じてDMDに特徴的な心電図変化を見つけている。その変化と臨床データとの比較、血液データや遺伝子変異との関連などを解析し、国際学会で多くの研究者と議論を行い、成果については論文として発表する予定である。その後には当初の計画通りに高リスク患者の決定や高リスク患者と低リスク患者の比較などを通じてαアクチニン3欠損と関連のあるジストロフィンアイソフォームの心筋での発現の証明を行っていく予定である。
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