研究課題/領域番号 |
23K17233
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
佐川 友哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80962977)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 心アミロイドーシス / ラマン分光分析 / アミロイドーシス / ラマン分光法 |
研究開始時の研究の概要 |
アミロイドーシスは前駆蛋白質の折りたたみ異常により形成されるアミロイド線維が臓器に沈着する疾患であり、前駆蛋白質の種類によって病型が分類される。特に予後不良な心アミロイドーシスは、病型毎に治療法が異なる為に病型鑑別が重要である。一般的な鑑別法である免疫組織染色では、鑑別が困難な例もしばしば存在し、本研究では分子構造を高感度に分析できるラマン分光法を用いることによって、心アミロイドーシスの主要な病型であるALアミロイドーシスとATTRアミロイドーシスとを鑑別することを目指す。本研究成果によって、心アミロイドーシスの病型診断の新たな選択肢を樹立し、早期治療・予後改善に結びつくことが期待される。
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研究実績の概要 |
アミロイドーシスは、折りたたみ異常を起こした前駆蛋白質が特有のβシート構造に富むアミロイド線維を形成し、全身の様々な臓器に沈着して機能障害を起こす疾患の総称である。中でも、予後不良な疾患である心アミロイドーシスは前駆蛋白質の種類によってATTR、ALλ、ALκという病型に大別され、これらの病型によって治療法が異なるため、その鑑別は重要である。一般的な鑑別法である免疫組織染色では鑑別が困難な症例もしばしば存在するため、本研究では高感度な分析法であるラマン分光法を用いた鑑別法を確立することを目指す。 本年度は、まずATTR、ALλ、ALκそれぞれ3症例のホルマリン固定後の心筋組織標本を用いて検討を行った。アミロイド沈着部位を可視化するCongo Red染色の結果を参照し、連続切片においてアミロイド沈着部位および非沈着部位のラマンスペクルを確認した。組織切片を脱パラフィン後に十分に乾燥させて分析した結果、アミロイド沈着部位においては特徴的なラマンシフトのピークが検出され、既報に基づくとβシート構造を反映するピークであると考えられた。しかし、ATTR、ALλ、ALκの各病型間におけるアミロイド沈着部位のスペクトルの差異は明らかではなかった。 一方で、各前駆蛋白質のアミノ酸配列に基づいたペプチドを合成し、これらのラマンスペクトルを確認したところ、それぞれの病型に特徴的な複数のピークが認められた。 以上から、ヒト心臓組織切片においても前駆蛋白質毎に異なるラマンスペクトルが得られる可能性があるものの、ホルマリン固定や切片の乾燥などの複数の工程を経ることにより、固有のスペクトルがマスクされる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アミロイド沈着部位に特徴的なラマンシフトのピークの同定と、前駆蛋白質に基づくペプチド由来のラマンスペクトルの鑑別を行うことができたが、ヒト心臓組織切片上における各病型の鑑別までには至らなかったことから、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、組織切片に対して様々な前処理を行うことでラマンスペクトルが変化するか、さらにはスペクトルに対する解析によって各病型間の鑑別が行えないか検討を進める。各病型を鑑別しうる手法を確立すれば、複数症例における再現性を確認し、併せてHE染色や免疫染色実施後のサンプルについても脱色を経て解析が可能か確認していく予定である。これにより、貴重なサンプルから余すことなく重要な情報を得ることができると期待される。 さらに、最終的にはマッピング画像(ラマンイメージ)の描出によって、Congo Red染色や免疫染色結果との対比を目指す。
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