研究課題/領域番号 |
23K17260
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
金丸 真奈美 東京電機大学, 理工学部, 助教 (00921488)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 眼内閃光 / 視覚障碍者 / 歩行支援 / 電気的干渉 |
研究開始時の研究の概要 |
視覚障碍者の歩行支援システムの手法にて視覚情報である眼内閃光の提供について研究が重ねられている。眼内閃光は電気刺激によって閃光を知覚する現象であり、電極配置を調整することで観測位置を制御できる。申請者は先行研究において、眼球表面の電界推移に着目し、眼内閃光を視界の3方向へ提示する手法や2つ同時に提示する際の電気的干渉を避ける手法を明らかにしてきた。しかし、障害物の多い視界の下側のみへの提示等、解像度を上げた場合に電気的干渉を避ける手法については議論されていない。本研究では歩行支援システムの安全性を高める目的で、眼内閃光の提示解像度を上げた上で電気的干渉を避ける手法について明らかにする。
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研究実績の概要 |
視覚障碍者の歩行支援ツールの多くは片手を使用した白杖もしくは他の感覚を阻害する形で外界の様子を伝えるウェアラブルデバイスなどである。しかしながら、視覚障碍者にとって聴覚等の他の感覚は重要な情報源であり、また、片手を使用した白杖等のツールは非常時に両手を使用することができない等の問題点がある。したがって本研究課題では本来使用することが不可能である「視覚」を用いて歩行支援を行うこととした。 眼球の表面を電気的に刺激することで眼球内の神経節細胞が刺激され、視覚障碍者に対しても眼内閃光という閃光を提示することが可能となる。この現象を視覚障碍者の歩行支援に使用するため、意図した領域のみに眼内閃光を提示する手法について本研究課題では取り組んでいる。眼球の周辺に配置した電極による眼球刺激によって眼球表面が刺激され、眼内閃光が提示されることは先行研究により明らかにされている。眼球を刺激する電極の座標と刺激電流値、位相等を調整することで意図した眼球表面の領域のみを刺激して眼内閃光を提示する。 本研究課題では視界を6分割した場合のそれぞれの領域に眼内閃光を提示する手法について着目している。今年度は研究実施計画に基づき、眼内閃光の提示解像度向上に向けた電界シミュレーションを行った。視界を6分割した領域の内、視界下側、視界上側の右・中央・左の3方向のみに眼内閃光を提示するため、選択的に該当眼球表面領域を刺激する電極配置について明らかにした。また、複数の眼内閃光を同時に提示する手法についても明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に基づき、視界上側と視界下側に眼内閃光を提示する手法を明らかにした。眼球表面の露出領域を6分割し、意図した領域のみを刺激する刺激条件を明らかにした。主に電極を眼球の刺激したい領域と顔面の凹凸に従って配置し、刺激電流値を調整することで意図した領域のみを刺激することを可能とした。加えて眼球表面の刺激強度を3次元グラフに変換することで、各眼球表面の領域を局所的に刺激可能な刺激手法であることを定量的に議論した。 また、複数の眼内閃光を同時に提示する手法についても明らかにした。 以上より概ね順調に進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、視覚障碍者に眼内閃光と呼ばれる閃光を障害物位置に提示することで歩行支援を行うことを目指し、眼内閃光を意図した領域に提示する手法を追究している。障害物は視覚障碍者の右・前・左の3方向以外にも存在する可能性があるため、より多くの方向へ同時に眼内閃光を提示する必要がある。 眼球の表面の領域は極めて限られた面積であり、その領域を分割してほかの領域に電気的影響を及ぼさず、意図した領域のみを刺激する手法が求められている。電極位置と刺激電流値を工夫することで眼球表面の意図した領域のみを刺激し、意図した方向のみに眼内閃光を提示する手法を引き続き追究する。
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