研究課題/領域番号 |
23K17262
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北川 広大 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20965256)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 介助動作 / 動作姿勢 / 慣性センサ / スマートフォン / 機械学習 / 腰痛予防 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化が進む日本では,介助者の腰痛が問題となっており,これらの主な原因として介助動作中の不適切な動作姿勢が挙げられる.この背景から,本研究では,介助者の腰痛予防に向けて,広く普及しており常に身に着けられるスマートフォンのみで介助動作をモニタリングするための計測技術を開発する.スマートフォン内蔵のセンサは加速度などの慣性情報を計測できるが,デバイスの位置や個数が限られているため,直接的に動作姿勢を計測できない課題がある.そこで本研究では,この課題の解決に向けて,様々な推定技術に使われている機械学習を応用し,スマートフォンの限られた慣性情報から介助動作を計測する技術の開発と検証を目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では,介助者の腰痛予防に向けて,常に身に着けられるスマートフォンに内蔵されたセンサで介助動作を計測する手法の開発を目的とした.2023年度は主に(1)ウェアラブルセンサを用いた既存の動作計測技術の調査,(2)計測対象とする介助動作と動作姿勢の検討,(3)スマートフォン内蔵の慣性センサを用いた介助者の足部位置計測技術の開発と評価,(4)今後の提案手法の検証に向けた実験系の構築,(5)本研究に関する成果の公表を実施した. 上記(1)では,文献レビューによって既存の介助動作計測におけるセンサの種類や装着位置,対象の動作姿勢,情報処理技術などを明らかにし,スマートフォンを用いた提案手法の要件をまとめた.上記(2)では,腰痛予防で着目すべき介助動作や動作姿勢を検討し,腰部負荷の大きい移乗介助や腰部負荷の軽減に関わる足部位置や体幹姿勢の計測・フィードバックに着目することとした. 上記(3)では,スマートフォン内蔵の慣性センサと機械学習による分類モデルを用いた移乗介助の足部位置推定手法を提案した.さらに,2023年度はスマートフォンを用いた実験によって,提案手法の推定精度を検証した.検証の結果,提案手法は前後配置や左右配置といった介助者の足部位置を単一のスマートフォンのみで推定できる可能性が示された.さらに,提案手法に適した信号の組み合わせや機械学習アルゴリズムを検討した. 上記(4)では,今後の提案手法の開発・検証に向けて,光学式モーションキャプチャの導入・予備計測を進めた.今後の研究では,高精度な光学式モーションキャプチャによって計測した動作姿勢を機械学習の学習データや提案手法を評価する際の真値に用いる予定である. 上記(5)では,本研究の成果を査読付き学術論文1報,国際学会2報,国内学会1報で公表した.また,現在は上記(3)に係る研究成果を査読付き論文誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度では,計測対象とする介助動作と動作姿勢を検討し,提案手法に用いるセンサや情報処理技術などを選定できた.提案手法の開発では,スマートフォン内蔵の慣性センサと機械学習による分類モデルを用いた移乗介助の足部位置推定手法を提案した.さらに,スマートフォンを用いた検証実験により提案手法は高い精度で足部位置を推定(計測)できる可能性が示された. ここまで述べた通り,2023年度では提案手法の開発に係る様々な要件の検討がおおむね完了し,本研究で着目する動作姿勢の1つである足部位置の計測技術を確立できつつあるため,本研究はおおむね順調に進展していると考える. 一方で,2023年度の課題として,腰痛予防に関係する体幹姿勢の計測技術を検討できていなかった点が挙げられる.また,2023年度に提案した足部位置推定手法は高い推定精度があるものの,計測環境によって誤差が生じやすい地磁気センサを用いている.今後は,地磁気センサの誤差を考慮した足部位置推定手法の改良や地磁気センサを使わない新しい手法の提案も検討する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では,これまでに提案した足部位置推定手法の改良として,計測環境によって誤差が生じやすい地磁気センサを用いずに,加速度センサとジャイロセンサのみで足部位置を推定する手法を検討する.そして,上記の改良やこれまでの成果を踏まえて,足部位置推定手法の確立を目指す.さらに,2024年度では介助動作における体幹姿勢の計測手法の提案も進めていく.2024年度の進捗状況に応じて, 2025年度には上記で述べた体幹姿勢の計測技術の確立を目指す. 上記の改良や提案には,これまで導入や予備計測を進めてきた光学式モーションキャプチャを用いる.具体的には,光学式モーションキャプチャを提案手法の機械学習の学習データセット構築や精度検証における真値の計測に用いることを検討している.これらの活用に先立って,2024年度には光学式モーションキャプチャにおける赤外線カメラの台数増加や配置の調整についても検討する. 研究成果の公表予定としては,2024年度にスマートフォンを用いた足部位置推定技術に関する成果を学術論文や学会発表などで公表することを検討している.さらに, 2025年度には研究の進捗状況に応じて体幹姿勢の計測手法に関する成果も公表することを目指す.
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