研究課題/領域番号 |
23K17285
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市村 英彦 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50401196)
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研究分担者 |
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
荒井 洋一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (50376571)
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2026年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 政策評価 / 労働市場 / 部分識別 / セミパラメトリックモデル / ノンパラメトリックモデル |
研究開始時の研究の概要 |
労働市場の変化や健康福祉の問題を分析するには、個人や地域ごとに異なる効果を明らかにできるほど詳細な情報を含み、代表性もある大規模なデータが必要である。そこで本研究では、複数の政府統計を連結することにより新たな分析データを構築する。構築したデータの性質に適した計量経済学の分析手法を開発・応用し、市場変化や政策の因果効果を定量化することを目指す。
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研究実績の概要 |
初年度は、国勢調査と他の政府統計との連結作業と分析データの構築に向けて、政府統計の利用準備を中心に進めた。併せて、分析対象となる政策・制度の精査、既に連結可能な既存データによる分析、分析のための計量理論開発を行った。 国勢調査との連結における秘匿性の高い情報の扱いも含めて、統計局および厚労省との打ち合わせを行った。その結果、現状で利用可能な情報に基づく確率的マッチによる連結は可能であり、実施について協力を得られることになった。特に、統計局とは共同研究プロジェクトとして共同で作業を実施することになったため、準備作業を開始した。 また、最低賃金研究の一環として、為替レート変動が雇用や賃金に与える分析を行った。企業活動基本調査と賃金構造基本統計調査を連結したデータで分析を行った結果、日本円の増価に対して輸出企業は輸出量を減らすものの、直接雇用の労働者を減らさず、間接雇用の労働者を減らすことなどが明らかになった。 地域労働市場分析について、さまざまな地域的な経済・社会的イベントの効果は、家計や地域の背景属性によって、大きな影響を受けることが想定される。このような異質性を分析することは、推定結果の理論的・政策的含意を大きく改善することが期待できる。このため異質性の解明は分析の最終段階において必須であり、その手法的検討を行った。 また、電力会社による節電要請が電力消費にどのような影響を与えるのかを総務省の家計調査を用いて分析を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国勢調査と他の政府統計の連結作業に向けた準備として担当部局との打ち合わせや共同研究プロジェクトの準備を開始し、国勢調査・人口動態調査・国民生活基礎調査について突合可能性の検討を行っている。また、既に連結可能な政府統計に基づくデータで、最低賃金に関する研究を進めることができた。
最低賃金の分析については、為替レート変動が雇用や賃金に与える影響を、その影響の雇用形態間での異質性に注目しながら分析した。企業活動基本調査と賃金構造基本統計調査を接合して分析を行った結果、日本円の増価に対して輸出企業は輸出量を減らすものの、直接雇用の労働者を減らさず、間接雇用の労働者を減らすことが明らかになった。また、直接雇用の労働者の賃金をボーナスを中心に減らすことが明らかになった。これらの結果は直接雇用の労働者と間接雇用の労働者が企業特殊的技能の点において異質であることを示唆している。 地域労働市場の分析では、国勢調査を用いた分析の事前分析として、大規模データを用いた異質性分析の方法論的検討を行った。
また、電力会社による節電要請が電力消費にどのような影響を与えるのかを総務省の家計調査を用いて分析を行なった。基本的な計量手法としては差の差の方法を用いた。そこではある期間に行われた複数の節電要請を同時に分析するモデルや一つ一つの節電要請を個別に分析するモデルなどを用いて分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、世帯、企業に加えて、業務統計群内の連結も進めると共に、文字情報等を利用した統計群間の連結に向けた作業を進める。また、連結が完了したデータから随時分析可能なデータに加工し、実際の実証分析を進める。 また、家計や地域の背景属性等の異質性を定義できる推定式についての関数、および観察できない変数への仮定を緩めた上で推定の元で、地域格差や地域内格差の実態解明を行う。特にパネルデータを活用することで、水準のみならず、変遷過程の異質性も推定することを目指す。 分析で得られた結果は、学内外の研究会または勉強会で発表する。
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