研究課題/領域番号 |
23K17286
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡辺 誠 京都大学, 経済研究所, 教授 (40899811)
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研究分担者 |
山口 慎太郎 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (20793946)
神林 龍 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40326004)
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
高橋 秀典 京都大学, 経済研究所, 准教授 (80839796)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
24,960千円 (直接経費: 19,200千円、間接経費: 5,760千円)
2025年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 雇用仲介 / サーチ理論 / オンライン・プラットフォーム / 職業紹介・斡旋 / 賃金格差 |
研究開始時の研究の概要 |
雇用仲介の役割が重要性を増す一方で仲介が低賃金労働を温床しているのではとの懸念が高まっている。それにもかかわらず政策的対応は殆ど講じられていないのは、そもそも学術的に雇用仲介を分析するツールが開発されていないことが主因の一つである。本研究ではこうした未開拓の領域に学術的な光を当てるべく、雇用仲介が低賃金労働を発生・温存させるメカニズムが解明し、雇用仲介、雇用政策一般についての論理を探求する。
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研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果について、プロジェクトごとにその具体的内容、意義、重要性をまとめる。「公的仲介」プロジェクトでは、新たな理論モデルを構築して、日本のデータおよびドイツのデータを用いて、ハローワークの仲介機能を分析した。前者では、労働者の賃金弾力性を推定し、労働者は企業と比して特に面接の段階では賃金に感応的でなくなるとの結果を得た。後者では、民間の雇用仲介をマッチングの効率性が上がり、結果として雇用者賃金も高まることが自然実験によって明らかになった。 「派遣労働仲介」プロジェクトでは、二面市場を考慮したプラットフォーム間競争の理論モデルを構築した。また、厚生労働省の業務データである労働者派遣事業報告を活用することで、用いるデータから賃金だけでなく雇用者手数料も視野に入れた分析が可能になった。 「タスク型雇用仲介」では、理論面では、プラットフォームデザインに関する新しい理論モデルを構築して分析することで、タスク型プラットフォームが紹介機会に制限を設けることで生まれる経済効率性のロジックを解明した。データについては、日本の大手タスクプラットフォーマーから必要な情報を得て、利用可能な変数の吟味と準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を有効的に進捗させるため、「Workshop on Search and Platform」を立ち上げ、国内外で活躍する若手研究者との交流を通じて研究者交流を図った。また春にはオンラインで、夏には対面方式で「Asia-Pacific Searchand Matching Workshop」を開催し、海外の最前線で活躍する当該分野の専門家を招待して研究報告を行った。さらに、いくつかのプロジェクトの研究成果はすでに国際ジャーナルへの投稿を開始している。過去に行った、「派遣労働仲介」に関する研究成果の一部は、Dong, Hyslop and Kawaguchi (2024) Journal of Labor Economicsに、「タスク型雇用仲介」にみられるプラットフォーム構造については、Gautier, Hu and Watanabe (2023) RAND Journal of EconomicsおよびTeh, Wang and Watanabe (2024) Journal of Economic Theoryに公刊した。これら総合的に判断して、本研究課題はこれまでのところおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、前年度までの方向性を継続して行うことにする。また、作業の進度に応じてではあるが、「Workshop on Search and Platform」の開催頻度を上げて、また、海外の最前線で活躍する研究者との交流も念頭において、発表機会をフレキシブルに設けていく予定である。プロジェクトごとの作業計画は以下のとおりである。 「公的仲介」プロジェクトでは、前年度までに得られた研究成果をワーキングペーパーとしてまとめている。そこで本年度はワークショップやカンファレンスで発表して、専門家や関連する研究者からフィードバックを得る予定である。そしてそれらをもとに、精緻化を図る。年度の終わりまでには、それら進展を踏まえた上で、学術雑誌への投稿に備える。 「派遣労働仲介」プロジェクトでは、前年度までにデータ分析、モデルの構築は終えているので、今年度は行動推定分析をできるだけ前に進めていく予定である。年度終わりまでにはワーキングペーパーの形でまとめることを目標とする。 「タスク型雇用仲介」プロジェクトでは、データ分析を優先し、スタイライズ・ファクトの発見に努める。モデルの具体的な定式化を進めることを目標とする。
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