研究課題/領域番号 |
23K17299
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2027年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2026年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
|
キーワード | Non backtracking / random tensors / random geometry / 非バックトラック作用素 / Random Tensors / Free Probability Theory |
研究開始時の研究の概要 |
非バックトラック作用素は数論におけるゼータ関数の級数表示とオイラー積表示の対応関 係の類似をグラフにおける伊原ゼータ関数で実現した際に生まれたもので, 級数のような数論由来の重たい計算をより「素」なもので書き下す手法である非バックトラック作用素と呼ばれる数学的対象の理解を深め, 双曲幾何学に端を発するランダムな幾何学の未解決問題解決とその応用を本研究課題では目指す. 特に、物質科学や機械学習への応用, 計算機科学へ応用, ランダムテンソルへの深い応用を議論し, 諸科学における問題解決を図る.
|
研究実績の概要 |
本研究の主な焦点は、フランス・エクスマルセイユ大学のCharles Bordenave氏との共同研究ある. その原点となっている論文はAnnals of Mathematicsに掲載された論文でイギリス・ダラム大学のMichael Magee氏とWill Hide氏がランダム幾何学の重要な問題を解決することに既に貢献している. 本研究課題はその研究の流れに続く非バックトラッキング作用素の研究である。 2023年度は2番目の論文「Strong asymptotic freeness for independent uniform variables on compact groups associated to non-trivial representations」を改訂、Inventiones Mathematicaeに掲載予定になった。また、 2023年4月に3番目の論文「Norm of matrix-valued polynomials in random unitaries and permutation」を完成させ、arXivに投稿した。 この論文では、Peterson-Thomの重要な予想とPisierの一連の予想を解決しました。これまで、行列係数のサイズが行列のサイズに匹敵する場合、ランダム行列のノルムを推定することは不可能だったが、今回、ランダム行列よりも行列係数が指数関数的に大きいサイズを扱うことに成功し、大きなテンソルを扱うことができるようになった。 ドイツ・ハイデルベルグ大学のRazvan Gurau氏とリヨン高等師範学校のLuca Lionni氏と共に、対称群のようなユニタリ群より小さいがテンソル構造を持つ群に対し適用する自由確率論の変形を作り上げることに取り組んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フランス・エクスマルセイユ大学のCharles Bordenave氏との共同研究はほぼ予定通りに進んでいる。一方東京都立大学の高津飛鳥氏とのランダムユニタリのガウス分布による近似(Gromovピラミッドの意味で)に関する共同研究は少し遅れている。東北大学の塩谷隆氏と高津氏はランクk<<n^{1/3}の旗多様体を得ていた。我々は最近k<<nの場合を扱うことができるようになり、さらに最大ランクk=nのケースにまだ取り組んでいる。京都大学数学教室の専攻主任などの管理業務など研究開始時に予定していなかった管理運営業務が入った関係で、後者の研究がまだ完成していないため「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
フランス・エクスマルセイユ大学のCharles Bordenave氏とは、最新の三番目の論文の結果を一般のランクのテンソルの場合に拡張する共同研究に取り組んでいく予定である。つまり任意のBに対してのUがランダムユニタリのときのA\otimes U+ Bの作用素ノルムを研究していく。これを深く理解することができれば、イギリス・ダラム大学のMichael Magee氏らの結果を改善し、任意の直角アルティン群に対する強収束を証明できると見ている。 東京都立大学の高津飛鳥氏とは、k=n-o(n)の場合を証明するための新しい戦略を見つけた。これはvirtual isometriesに基づく全く新しい戦略です。これを確認し、k=nのケースに適用できるかどうかを確認する予定である。この共同研究を完成させ、論文としてまとめる。 ドイツ・ハイデルベルグ大学のRazvan Gurau氏、リヨン高等師範学校のLuca Lionni氏とこれまで進めてきたランダムテンソルについての3部作の共同研究の最後の3番目の論文を完成させる。また、Luca Lionni氏とともにランダムテンソルに関するイベントをパリのIHPで共同開催し、情報収集と共同研究を行う予定ある。 今秋はJean Morlet賞の保持者としてフランスマルセイユのCIRMにまとまった時間滞在する予定である。その中でランダム幾何学に関するワークショップを開催し、情報収集を行う予定である。またフランス・マルセイユにいるCharles Bordenave氏と次のプロジェクトで多くの共同研究を行う予定である。
|