研究課題/領域番号 |
23K17308
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
榎戸 輝揚 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20748123)
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研究分担者 |
長岡 央 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (10707805)
草野 広樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 研究員 (10547615)
晴山 慎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60327286)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2025年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2024年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 月面探査 / 月の水資源 / 中性子 / 中性子の寿命 / 国際宇宙ステーション / 月面物理学 / SPySE / 素粒子物理学 / 中性子寿命 / 銀河宇宙線 / 水資源 / MoMoTarO |
研究開始時の研究の概要 |
中性子の寿命は、加速器での中性子ビームによる「ビ ーム法」と冷却中性子を蓄積する「ボトル法」の間で約9秒(1%)もの違いがあり「中性子寿命パズル」と呼ばれる。月面には絶えず銀河宇宙線が衝突し、月面下1メートル 以内での原子核反応で高速中性子が発生する。この高速中性子は主に軽元素との弾性散乱で熱化し、熱中性子として表面から宇宙空間に漏出する。この漏出する熱中性子を用いて寿命を測定するのが本提案の究極的な狙いであり、そのための検出器開発、シミュレーターの開発、地球低軌道での宇宙実証などを実施する。
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研究実績の概要 |
ビーム法とボトル法という2種類の計測手法の間で系統的な違いがある素粒子物理学上の問題「中性子の寿命測定」に対して、月面から漏出する熱中性子の高度プロファイルを測定することで挑戦することを狙う研究である。月周回機への搭載を目指す測定器 Moon Moisture Targeting Observatory (MoMoTarO) orbiter の開発は、中性子に感度のあるシンチレータを主体として進めている。本挑戦的研究(開拓)の目玉は、国際宇宙ステーションの暴露部への搭載により宇宙実証を行い、技術成熟度(TRL)を証明することである。そこで、JAXAの国際宇宙ステーションi-SEEP/SPySE利用実験有償公募に向けて、国際宇宙ステーションに搭載できるような装置・ミッション設計を進め、「月の水資源探査と月面物理学を創成するMoMoTarO 実験の宇宙実証」として応募したところ、2024年1月に選定・採択された。その後、2026年度の宇宙実証を目指してミッションのスケジュールを設定し、JAXAおよび協力企業との議論を進めている。また、本予算を軸にして、JAXA有償契約に向けた事務手続きや調製を進めた。さらに、本科研費の終了後の進展も目指し、日本国内の超小型衛星(キューブサット)会社との議論も行った。また、月面の化学組成の不均質性が中性子の寿命測定に与える影響を、これまでの月周回機により取得された月全球の化学組成データや地質画像データを取得・整理して、解析することで検証する必要を考え、複数の異なるデ ータフォーマットで取得された周回機データを統合的に解析するための GIS解析ソフトウェア (ENVI 基本モジュー ル)の購入を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本計画の軸となる、JAXAの国際宇宙ステーションi-SEEP/SPySE利用実験有償公募に採択されたことにより、挑戦的研究(開拓)が狙うサイエンス実現への道筋が経ち、宇宙実証のチケットが確保できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、JAXAの国際宇宙ステーションi-SEEP/SPySE利用に向けて、JAXAおよび関係会社とのインターフェース設計や議論、調整を進め、MoMoTarO-ISS 版へ向けた準備を加速する。また、MoMoTarO のエンジニアリングモデルを完成させ、その性能評価や改善を行う。また、挑戦的研究(開拓)後の月周回機のコンセプトデザインを進める。さらに、月面探査に関する他のプロジェクトとの相互交流や連携研究も検討にいれる。
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