研究課題/領域番号 |
23K17312
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
力石 嘉人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50455490)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2025年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 安定同位体比 / 有機化合物 / 誘導体化 / 同位体分別 / 前処理 |
研究開始時の研究の概要 |
有機化合物の安定同位体比の解析は,地球生命科学分野の様々な研究で広く用いられ,これまでに膨大な研究成果をもたらしてきた。しかしながら,本解析法は,測定法が開発されてから約30年が経った現在においても,適応できる有機化合物の種類が極めて少ないという欠点を持つ。それは,アミノ酸,糖,核酸塩基などの多くの主要な有機化合物で「同位体比の測定を行うために必要な誘導体化に伴い,同位体比の人為的改変が起きてしまう」という課題が未だに解決できていないためである。そこで本研究では,「誘導体基の交換反応」という新しいアイデアを導入し,この長年の課題を抜本的に解決する革新的技術の開発にチャレンジする。
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研究実績の概要 |
有機化合物の安定同位体比の解析は,地球生命科学分野の様々な研究で広く用いられ,これまでに膨大な研究成果をもたらしてきた。しかしながら,本解析法は,測定法が開発されてから約30年が経った現在においても,適応できる有機化合物の種類が極めて少ないという欠点を持つ。それは,アミノ酸,糖,核酸塩基などの多くの主要な有機化合物で「同位体比の測定を行うために必要な誘導体化に伴い,同位体比の人為的改変が起きてしまう」という課題が未だに解決できていないためである。そこで本研究では,「誘導体基の交換反応」という新しいアイデアを導入し,この長年の課題を抜本的に解決する革新的技術の開発にチャレンジする。 研究の初年度(令和5年度)は,アミノ酸の安定炭素同位体比の分析を対象に「少量の誘導体化剤」+「十分量のエステル系溶媒を用いた交換反応」を組み合わせ,「誘導体化に伴う同位体比の人為的改変の解決法」を開発に挑戦した。 誘導体化剤や交換に用いるエステル系溶媒,交換反応の時間等を変えた様々な条件での交換反応を実施した結果,アシル-イソプロピル誘導体化に対して酢酸イソプロピルを用いて交換反応を行った場合,交換反応を行わない場合の測定精度がプラスマイナス8パーミルであったのに対し,交換反応を4時間行うと,測定精度がプラスマイナス2パーミル程度に減少することが証明された。この結果をもとに,現在さらなる条件検討を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,アミノ酸の同位体比分析を対象に「少量の誘導体化剤」+「十分量のエステル系溶媒を用いた交換反応」を組み合わせ,「誘導体化に伴う同位体比の人為的改変」の解決法を開発に挑戦した。 その結果,交換反応を行った場合に,測定精度が約4倍よくなり,初年度としては概ね予想通りの結果が得られている。また,様々な条件検討を実施する中で,誘導体化と交換反応を,1ステップで行えるようなアイデアも生まれている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の2年目(令和6年度)の前半には,令和5年度に得られた結果をベースに研究を進め,「少量の誘導体化剤」+「十分量のエステル系溶媒を用いた交換反応」を組み合わせ,「誘導体化に伴う同位体比の人為的改変の解決法」を完成させたいと考えている。 具体的には,まずはアミノ酸を用いて,無水カルボン酸系の誘導体化剤+触媒(ピリジンや有機酸化チタンなど)を用いて,誘導体化と交換反応を,1ステップで実施する方法を開発する。また,研究が順調に進み,アミン酸での分析法が完成した場合には,(1) アミノ酸の炭素同位体比を用いた応用研究(生物・生態系への応用),および,(2) 糖の同位体分析法の開発,の2点に挑戦する。
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