研究課題/領域番号 |
23K17314
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
矢野 隆章 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 教授 (90600651)
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研究分担者 |
藤島 皓介 東京工業大学, 地球生命研究所, 准教授 (00776411)
北台 紀夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 副主任研究員 (80625723)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2023年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | ナノフォトニクス / 光熱効果 / 化学進化 / プラズモニクス / 単一分子分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、最先端のナノフォトニクス技術を駆使して、原始地球環境下の化学進化反応を単一分子スケールで解明する。具体的には、金属ナノ構造の光熱効果を利用して、鉱物表面においてナノスケールの熱勾配を生成することによって原始地球の間欠泉環境を再現する。さらに、鉱物表面上での生体分子の化学進化反応を金属ナノ構造の光増強効果を利用して単一分子スケールで分光分析する。また、ナノスケールの電位制御によって原始地球のpH勾配環境も模倣し、同様の単一分子分光分析を行うことによって、原始地球環境下の化学進化反応メカニズムを究明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、最先端のナノフォトニクス技術を駆使して、原始地球環境下の化学進化反応を単一分子スケールで解明することを目的としている。とくに、金属ナノ構造の光熱効果を利用して、鉱物表面においてナノスケールの熱勾配を生成することによって原始地球の間欠泉環境を再現する。 本年度は、金ナノ粒子の光熱効果を実験と計算の両輪から解析した。金ナノ粒子をラマン活性な高分子膜で包埋し、レーザー光を照射した際の高分子膜のラマン散乱から金ナノ表面の温度を分光計測した。その結果、レーザーパワーに依存して金ナノ粒子表面の温度を有意に変化することがわかった。この実験結果は、有限要素法を用いて金ナノ粒子表面の光熱温度計算結果と良い一致を示した。計算結果では金ナノ粒子の表面から数十nmの範囲で急峻な熱勾配が発生することがわかった。これにより、溶液中において局所的な熱勾配を生成することが可能になった。 さらに、天然鉱物である黄鉄鉱を用いて、その表面での生体分子吸着相互作用解析を行った。表面電荷が異なる3種類のペプチド分子溶液中に黄鉄鉱基板を浸漬し、その表面を分光分析した。その結果、表面電荷によって吸着量が異なることがわかった。吸着量は溶液のpHにも依存することもわかった。さらに、基板を加熱しながら同様の実験を行った結果、加熱温度に依存して吸着量が異なることがわかった。加熱温度が400度に達すると鉱物表面の結晶構造が変性し、黄鉄鉱がヘマタイト(Fe2O3)に変化することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、初年度に金属ナノ構造近傍で局所的な熱を発生することに成功し、鉱物表面において局所的な熱勾配を生成することが可能になったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は金ナノ粒子近傍の熱を効率的に制御する条件を最適化し、鉱物表面でのミニチュア間欠泉を模倣する。さらに、ミニチュア間欠泉近傍における生体分子の鉱物表面への吸着相互作用を解析することによって、間欠泉と化学進化反応の関連性を究明する。
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