研究課題/領域番号 |
23K17329
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗栖 太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30312979)
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研究分担者 |
春日 郁朗 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20431794)
飛野 智宏 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90624916)
鈴木 研志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80870188)
高梨 啓和 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (40274740)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2025年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2024年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | ノンターゲット分析 / 未知スクリーニング分析 / 精密質量分析 / 微生物増殖基質 |
研究開始時の研究の概要 |
水道水中では、滞留時間の経過とともに残留塩素が消費されると微生物が再増殖する。微生物は水道水に含まれる有機物を利用して増殖していることから、増殖に利用される有機物を特定することで、有機物を制御して再増殖を制御する技術につなげることができる。また、微生物による廃水処理において、処理される有機物と微生物種の関係はそれぞれ個別にはほとんど理解されていない。安定して処理を制御するために、それぞれの微生物種が利用する有機物を明らかにしていくことは本質的に重要な技術開発基盤となる。本研究では、精密質量分析計による有機物分析技術を最大限に活用し、微生物が利用する有機物を明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
今年度においては、環境中において特定の菌株が利用する基質の探索方法の開発として、河川水中において増殖が懸念されている大腸菌をモデルケースとして、河川水中で利用する増殖基質の探索と同定を行った。増殖前後、および大腸菌植種の有無の差分について、高分解能精密質量分析計であるHPLC-四重極-Orbitrapハイブリッド型質量分析計で試料を分析し、増殖によって利用された有機物の候補を得た。これまでに代表者らが行ってきた結果とともに、候補となる有機物の構造推定を行い、ヒドロキシデカン酸をはじめとする物質の同定に成功した。 さらにより貧栄養環境における検討として、水道水中における日和見病原細菌の1つとして懸念されている緑膿菌の増殖基質の特定を試みた。河川水よりも貧栄養条件下での実験を行う上で、水道水中に残存する細菌をいかに除く(もしくは不活化させる)かが課題となるため、除菌/不活化方法の検討を行った。無機膜で複数回ろ過したうえで、低温滅菌を行う手法を確立し、非植種の対照系において菌の増殖を最低限に抑えることに成功した。 得られた分析結果の一部について、得られた増殖基質候補について、MS/MS分析による構造推定を試みた。候補となる異性体について、量子化学計算を行うことでMS/MSスペクトルの推定を行い、構造推定の妥当性を検証した。 また、モデル微生物群を用いた代謝物の解析では、相互分配される代謝物を検出しその動態と微生物群集構造の変化を比較し、個々の微生物の関係性を予測した。さらに不均質な微生物個体群を用いて細胞間でやり取りされる代謝物を推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初初年度に計画していた内容について、ほぼ予定通り進めることができた。ただし、下水処理場に設置予定であったパイロットプラントは、下水処理場当局の都合により設置が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
貧栄養環境である水道水中での微生物再増殖現象について、研究を行うための準備が整ったことから、特に緑膿菌を用いて再増殖試験を実施する。まt、下水処理場内における試料採取と試験を実施し、下水処理微生物と有機物分析の解析を行う。また、モデル微生物生態系における代謝ネットワークについても、引き続き検討を進めていく。今年度前半に研究チーム会合を実施し、それぞれの研究内容について有機的につながっていくようにする。
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