研究課題/領域番号 |
23K17337
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本多 智 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10711715)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 高分子形状編集 / 光反応 / 超音波 / 高密度焦点式超音波 / 遠隔的物性操作 / 積層造形 / 液槽光重合式3Dプリンティング / 高分子トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高分子鎖の幾何学的特徴すなわち「形状」を自在に操ることで動的な生命現象を彷彿とさせる機能物質を創出することを目的とし、①高分子形状再編成法および②高分子形状淘汰・最適化法を開拓する。とくに、再編成は、複雑な高分子形状を簡単な構成単位に断片化する初期化、異種形状との再混成、およびその後の再構築からなる。また、淘汰・最適化は非平衡状態でローカルミニマムに凍結された高分子形状をバルク状態でグローバルミニマムに遷移させる過程からなる。本研究ではこれらの方法論を来たる将来のものづくりに貢献させるべく、液槽光重合(VP)式3Dプリンティング(3DP)法に展開する。
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研究実績の概要 |
生体(高)分子は、分子鎖の幾何学的特徴すなわち「形状」を巧みに操ることで優れた生体機能を創出している。合成高分子分野でも分子形状を動的に操ることで機能を創出しようとする試みが盛んに研究され始めたが、人類が現時点で実現できることは生命の機能には遠く及ばない。それでは、高分子鎖の幾何学的特徴を自在に変化させるための方法論とはどのようなものだろうか?本申請課題は、この問いを解決に導く新たなコンセプトとして「高分子形状編集化学」を打ち出し、①外部刺激によって可逆的に解体可能な動的網目状物質、②高分子形状編集のための特殊構造高分子合成法、および③積層造形法の開発に挑むものである。初年度には、①に関連して光刺激によってピンポイントで力学物性を改変可能な動的網目状物質を開発した。また、この物質が高密度焦点式超音波(HIFU)によって、物質の表面のみならず内部においてもポンポイントで物性変化または解体できることを見出した。さらに、②に関連して、分子量および分子量分布の揃った分岐状シリコーンの新規合成法の開発に至り、これを前駆体とするシリコーンエラストマーの力学物性に分子量および分子量分布が大きく影響することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、①外部刺激によって可逆的に解体可能な動的網目状物質、②高分子形状編集のための特殊構造高分子合成法、および③積層造形法の開発という三つの開発項目で構成されている。初年度において既に①と②を達成したため、当初の計画以上に進展していると判断できる。また、本研究は物質開発に関するものである一方、動的網目状物質を解体するための外部刺激の探索過程において、物質の解体に有効な高密度焦点式超音波(HIFU)デバイスを独自に設計・製作して網目状物質の解体に利用するという新たな研究展開の創造に至った。この物質開発とデバイス開発のインタープレイともいえる研究展開は、当初の想定を超える成果の創出に繋がっており、この点からも当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、予定より早く「資源循環型光反応式3D積層造形法の開発」の項目、すなわち応用展開を進めることが出来る。初年度において開発した物質群はあくまでも候補化合物の一つであり、今後の研究ではいかにこの応用展開の結果をフィードバックして更なる物質開発に繋げるかが鍵となる。これまで以上のスピード感をもって研究を進めるために、大学・研究機関や企業との連携によって材料のスクリーニングおよびスケールアップについても進める。
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