研究課題
挑戦的研究(開拓)
大腸癌の進展と腸内細菌の関係性は驚くほどよくわかっていない。本研究では、腸内細菌が大腸癌の進展を制御する液性因子を放出しているとする作業仮説を検証し、当該機構をうまく利用する技術を開発することを通じて、大腸癌の制圧を目指す。
大腸癌の進展に腸内細菌が関わっていることは論を待たないが、その全貌は依然として不明な点が多い。申請者らは、腸内細菌由来の特定の液性因子が大腸癌の進展を調節していることを示唆する証左を得た。当該液性因子は、腸内細菌から分泌された直後の形態のままでは大腸癌の進展に影響しないが、特定の界面活性物質の経口投与によってその性質を変化させ、強力な大腸癌抑制作用を発揮するようになる。本年度は、経口投与可能な当該液性因子の産生を促進させる化合物のin vitroスクリーニングに着手し、有望な化合物を複数得ることに成功した。
2: おおむね順調に進展している
大腸癌増殖抑制作用を持つ液性因子の前駆体の産生を腸内細菌に誘導できる化合物のin vitroスクリーニングに着手し、有望な化合物を複数得ることに成功したため。
申請者らが見出している腸内細菌由来の液性因子が大腸癌の進展を抑制する分子メカニズム解明をすすめると同時に、腸管内における当該液性因子の量と性質を経口医薬を用いて制御する方法を探索することで、これまでにないまったく新しい大腸癌の予防/治療を可能にする技術開発をすすめてゆく。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
Nature
巻: 628 号: 8008 ページ: 604-611
10.1038/s41586-024-07237-y
The Journal of Biochemistry
巻: 174 号: 4 ページ: 305-315
10.1093/jb/mvad052
The Keio Journal of Medicine
巻: 72 号: 3 ページ: 77-87
10.2302/kjm.2022-0037-IR
https://www.moleculargerontology.com/