研究課題/領域番号 |
23K17424
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60528438)
|
研究分担者 |
須田 亙 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (20590847)
川島 祐介 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, ユニット長 (30588124)
渡辺 栄一郎 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (40623327)
成島 聖子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (80578336)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2025年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2024年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
|
キーワード | 腸内細菌 / メタゲノム / プロテオーム / トランスクリプトーム / 腸内細菌トランスオミクス解析 / メタゲノム解析 / プロテオーム解析 / メタトランスクリプトーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌トランスオミクス解析は、腸内細菌由来のDNA、mRNA、タンパクの3階層データを統合・解析することで、ゲノム情報・転写・翻訳の全ての過程を連続的かつ網羅的に検討することができる。この解析法により、タンパクを介した腸内細菌と宿主であるヒトとの相互作用の解明が期待できる。本研究は、小児健常児・疾患児のサンプルに対して腸内細菌トランスオミクス解析を行い、小児の健康や疾患における宿主と腸内細菌叢との新たな関わりを解明し、疾患特異的な細菌や病態に関わる細菌由来タンパクをターゲットにした診断・予後のバイオマーカー探索や新規検査・治療法の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
次世代シークエンサーやマススペクトロメトリーの発展により腸内細菌叢由来のDNAや代謝産物を解析することで遺伝子情報や細菌叢組成、代謝産物の詳細な情報を得られるようになり、今では腸内細菌叢とヒトの健康や疾患との様々な関わりが明らかになりつつある。しかし細菌由来タンパク質の網羅的解析は未だほとんど検証がなされていない。我々は既に腸内細菌プロテオーム解析の解析方法の確立に成功している。加えて便検体から高品質の腸内細菌由来mRNAを抽出し、腸内細菌叢のメタトランスクリプトーム解析を行えるようになった。これらの手法を用いて、腸内細菌由来のDNA、mRNA、タンパク質を網羅的に解析し、それぞれの階層の遺伝子情報を比較・検討する腸内細菌トランスオミクス解析を目指している。 まず健常成人13名からから便検体を採取し、それぞれに対して腸内細菌叢由来のDNA、mRNAの網羅的解析(ショートリードショットガン全ゲノム解析、トランスクリプトーム解析)を行なった。また、メタゲノム解析とメタトランスクリプトーム解析データから作成したタンパク質カタログをリファレンスにしてdata-independent mass spectrometryを用いた網羅的な腸内細菌プロテオーム解析を行なった。それぞれについてデータ解析を進めている。解析の過程の議論で、現在ではロングリードショットガン全ゲノム解析がショートリードと比較してより正確に腸内細菌叢の遺伝子情報を得られることがわかっており、本研究でもロングリードゲノムシークエンサーによる解析を行う方針とした。このロングリードシークエンサーの結果がで次第、これまでのトランスクリプトーム、プロテオームのデータと結合して解析を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の基礎となる健常成人13名からの便検体の解析を進めているが、途中の議論で腸内細菌由来のDNA解析にショートリードショットガン全ゲノム解析ではなく、ロングリードショットガン全ゲノム解析を行う方針変更を行なっている。既にロングリードショットガン全ゲノムシークエンサーでの解析を予定立てており、データが得られ次第、メタトランスクリプトーム解析データ、プロテオーム解析データと結合して検討を進めていく予定である。 並行して健常小児から便検体の採取を進めている。健常小児の解析結果は、小児疾患患者と比較する上で重要な比較データになると考えられるが、既往歴や内服歴などにより検体として適当でない場合があるため、検体採取が当初の予定より若干遅れている。 また本研究の技術開発、解析の実務を主に担当する研究協力者・柿原の総業務量が多く、若干の遅延につながった。
|
今後の研究の推進方策 |
健常成人13名の解析に関してはロングリードショットガン全ゲノムデータを解析し、メタトランスクリプトーム解析データ、プロテオーム解析データと結合した統合解析を進めていく。 健常小児からの検体採取については入院している患者に加え、その兄弟からの採取を検討している。これにより小児検体をより多く収集し、健常小児における腸内細菌叢のメタトランスクリプトーム解析を実施する。さらに健常群だけではなく、疾患児に関しても検体採取を開始し解析を開始する予定である。 実務を担当する研究協力者・柿原は今年度はより本プロジェクトに注力できる見込みで、当初の予定通り研究が推進可能と考えている。
|