研究課題/領域番号 |
23K17426
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
桑子 賢一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30468475)
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研究分担者 |
長谷川 孝一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (20546783)
濱 徳行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60422010)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2025年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2024年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 脳老化 / 神経活動 / 核 / 軸索 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、核膜LINC複合体(Linker of Nucleoskeleton and Cytoskeleton)による軸索起始部(Axon Initial Segment; AIS)の制御システムの破綻が神経機能低下の要因となるかどうか、そして加齢に伴うその破綻を防ぐことで脳機能の衰退を抑止できるかどうかを明らかにする。さらに、本研究で得られた知見をもとに将来的にヒトへの展開が可能かどうかを明らかにするためにヒト由来ニューロンでの検証も行う。
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研究実績の概要 |
当該年度は、まず、「LINC複合体によるAIS制御」の重要性や分子メカニズムについて解析を進めた。そして、LINC複合体の機能不全誘導(機能阻害型変異体の発現)によってAISの構造やその可塑性に顕著な異常が起こることを大脳皮質・海馬・小脳などのさまざまな脳領域の培養・生体ニューロンで明らかにした。特に、AISの成熟後にLINC複合体の機能阻害を行った場合もAISの顕著な異常が起こることから、LINC複合体がAISの機能維持に必須であることが明らかになった。さらに、LINC複合体の阻害によって、AIS構成分子群のプロファイルが大きく変動することも見いだした。これらの分子群の中には「LINC複合体によるAIS制御」のメカニズムの手がかりになりうる分子も含まれており、今後の解析のために候補分子の発現操作用のベクター作成などを行った。一方、加齢に伴うLINC複合体やAISの変化についても詳細に解析を行っており、まだ解析の途中ではあるが、老齢マウスニューロンでは大脳皮質や海馬を含むさまざまな脳領域でLINC複合体の顕著な発現低下とAISの構造異常(短縮)が起きていることを発見した。また、「LINC複合体によるAIS制御」に基づいた老化抑止の検証についても準備を進めた。まず、検証に必要なLINC複合体を発現するアデノ随伴ウイルスベクターの作成とその投与方法や投与量などの各種条件検討を完了し、マウス個体へのウイルス投与を開始した。これらのマウスについては次年度以降、順次解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、予定していた実験を着実に進めて重要なデータが得られており、また今後の解析に必要な技術を確立できたため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、「LINC複合体によるAIS制御」の分子メカニズムの解明と本機構に基づいた老化抑止の検証を中心に、以下の点について進めていく予定である。 (1)「LINC複合体によるAIS制御」に関わる分子の発現操作などによるメカニズムの解明 (2)加齢による神経回路構造、神経活動、脳関連行動の変容の解明(組織学・生理学・行動学解析) (3)老齢脳でのLINC複合体の発現操作による老化抑止の検証(組織学・生理学・行動学解析)
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