研究課題/領域番号 |
23K17439
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90221936)
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研究分担者 |
西田 崇 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (30322233)
服部 高子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00228488)
高江洲 かずみ (河田かずみ) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10457228)
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20112063)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10432650)
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2026年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | phase separation / droplet / CCN2 / transcription factor / lncRNA / LLPS / gene regulation |
研究開始時の研究の概要 |
核内では、共通の分子を使いながら別個の転写制御が混乱なく行なわれるが、なぜそれが可能なのか長きにわたり謎であった。そして最近、液・液相分離によって形成されるドロップレット(液滴)が変幻自在の小部屋を核内に提供し、その中で個々の転写が独立性を保ちつつ起こることが判ってきた。液滴形成には特殊なタンパク質とRNAが重要だが、液滴を分離・解析することは難しい。この状況を打開するため、本研究では転写の場としての液滴の現状と、液滴形成の制御機構を網羅的に解明できる方法の確立に挑戦する。より具体的には、相分離を介した長鎖非コードRNAによる遺伝子発現制御機構を解明するための新戦略の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
液滴形成による転写発現制御は、標的遺伝子の転写開始点を含んだ形で起こると想定される。本研究ではまず、標的遺伝子をcellular communication network factor 2 (CCN2)に絞って、それを制御する転写因子を含む液滴内のlncRNAを同定する計画である。これに関連した公開データベース解析の途上で、ヒト細胞ではCCN2遺伝子座から複数の環状RNA (circRNA) が出力されうることを見出した。これらcircRNAのほとんどは非コードRNAで、最近液滴形成に関与することも報告されている。しかもCCN2遺伝子座から出力されるため、その近傍での液滴形成に関与する可能性は高い。しかしヒト軟骨細胞、そして今回最初のモデルケースとして用いるヒト軟骨肉腫由来HCS-2/8細胞で、そのようなcircRNAが実際に産生されているかは確認できていない。したがって初年度はHCS-2/8細胞でCCN2からcircRNAが出力されているかを、circRNAのみを検出できるoligonucleotide primerで検証した。その結果、少なくとも2種類のcircRNAが検出された。驚いたことにこれらcircRNAは、現在までにヒトの他種細胞で見出されたcircRNAとは構造的に異なるものであった。続いてそのうち一種のcircRNAを標的とした合成siRNAで、当該circRNAの特異的silencingを試みた。その結果、当該circRNAは効率よくsilencingを受け、CCN2 mRNA量はわずかに低下した。この際当該circRNAの周囲に液滴が形成されているか、silencingによってそれが変化するかなど、今後photo isolation chemistryの手法で明らかにすることがひとつの本研究の課題として加わった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の初年度における進展は、不可抗力によって妨げられることとなった。第一に基金が使用可能となった時期が7月であったため、本研究方法論の中核機器であるdigital mirror device (DMD)をそれから発注せざるを得なかった。これに加えて中四国初めての導入ということもあって手続きが滞り、結果的に機器の納入が年度末ギリギリになってしまった。したがってphoto isolation chemistryの条件検討のため、液・液相分離によって形成されるparaspeckleを対象とする予備実験すら、本年度に実施するのは物理的に不可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度5月に漸く、本研究に必要不可欠なDMDと半導体レーザー光源が接続・調整され、PICを実践する環境が整う。そこで上記の遅れを取り戻すため、従前の研究組織メンバーに加えて、学内の複数の研究チームにも協力を呼びかけ、今年度5月にやっと行われるDMDのデモンストレーションに参加してもらい、共同で本研究を進めることを検討している。
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