• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

MRI対応手指介入ハプティックロボットの開発が切り開く未来型トレーニング法の創出

研究課題

研究課題/領域番号 23K17453
研究種目

挑戦的研究(開拓)

配分区分基金
審査区分 中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
研究機関国立研究開発法人情報通信研究機構

研究代表者

内藤 栄一  国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 室長 (10283293)

研究分担者 古屋 晋一  一般社団法人NeuroPiano(研究開発部), 研究開発部, シニアリサーチャー (20509690)
近藤 敏之  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60323820)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2025年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
キーワードハプティックロボット / ハプティックミラー システム / 機能的MRI / 手指運動学習 / 受動運動 / 運動学習
研究開始時の研究の概要

本研究では、これまで存在しなかった、MRI内で高速かつ複雑な手指運動を被験者に体験させることのできる手指介入ハプティックロボットを開発し、これによる受動運動訓練が、従来型の運動観察訓練よりも優れていることを証明し、脳内での関与が想定されるハプティックミラーシステムを利用した運動学習促進メカニズムを機能的MRIで解明する。これにより、視覚に大きく依存した従来の運動学習法から、直接自分の身体を通して体験した運動で誘導する新しい運動学習法へのパラダイムシフトを生み、視覚情報や言語情報では伝達が難しい、他者の力覚情報などを直接学習者の脳に体験させて行う未来型トレーニング法への発展を目指す。

研究実績の概要

脳は、期待される感覚を予測し、この予測モデルを立てながら、運動を実行する。予測モデルは自分の運動体験に基づくため、未体験の運動は感覚を予測できず、適切な予測モデルや運動指令を生成できないため、運動をうまく実現できない。つまり、あらかじめ脳に目標とする運動を体験させることができれば、脳はその感覚予測モデルを作成して、この運動をうまく実行できることになる。視覚による運動観察は、脳に運動を体験させる一つの方法であるが、この情報は運動制御そのものに直結したものではない。一方で、体性感覚(圧覚、運動感覚など)の複合的情報であるハプティック情報は、運動制御に直結した情報であるため、手指等を受動的に動かして目標とする運動のハプティック体験ができれば、これが最も直接的かつ効果的に、この運動を習得できる方法となる。
本研究では、手指運動を受動的に体験できるハプティックロボットを用いることで運動学習を促進できることを立証し、この学習促進の脳内メカニズムを機能的MRIで解明することに挑んでいる。2023年度は、MRI内で手指の精緻運動を制御できるハプティックロボットの開発に着手し、現在この改良を行っている。これと並行して、受動運動体験によって運動学習が促進される背後にある脳内メカニズムの基礎研究を行った。片手の能動運動に同期して同時にもう一方の手の受動運動を体験すると、受動運動を体験している手の筋活動を増大できることを突き止めた。また、受動運動体験中に同時にこの運動をイメージすることによっても、受動運動を体験している手の筋活動を増大できることも明らかにした。これらの方法は脳卒中後の手指運動機能改善に有効な方法として大いに期待できるため、現在成果を論文化している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度には、CiNetが所有するMRI装置(Vida)内で、空気圧で駆動する人工筋によるハプティックロボットを用いて、受動運動訓練中の脳活動を計測できる実験環境を構築することを目標とした。現在までに試作品は完成しているが、世界初の試みであるため、手指の精緻な制御を実現するためには時間がかかっている。一方で、このロボットを使わずに、受動運動体験によって運動学習が促進される背後にある脳内メカニズムの基礎研究を行った。片手の能動運動に同期して同時にもう一方の手の受動運動を体験すると、受動運動を体験している手の筋活動を増大できることを突き止めた。また、受動運動体験中に同時にこの運動をイメージすることによっても、受動運動を体験している手の筋活動を増大できることも明らかにした。これらの方法は脳卒中後の手指運動機能改善に有効な方法として大いに期待できるため、現在成果を論文化している。

今後の研究の推進方策

MRI内で駆動する手指ハプティックロボットの完成には、まだ時間を要すると想定される。空気圧を用いて高い精度で制御するための高度な技術が必要であるため、この開発ができる派遣技術員を雇用して開発を加速する。また、完成されるまで、MRI外で使用できる手指ハプティックロボットを用いて行動実験を行う。具体的には、右利き被験者が右手の中指・薬指の交互高速タッピング課題を行う。すべての試行を自分で行う群(Self群)、自分の現在のパフォーマンスよりも上の受動運動を体験する群(Super passive群)、自分の現在のパフォーマンスと同等の受動運動を体験する群(Self passive群)、自分の現在のパフォーマンスよりも上の受動運動を観察する群(Super observation群)を設ける。Super passive群では、Self群よりも学習が促進すること、Self passive群では、Self群でみられる学習の進行を阻害すること、また、Super passive群で予想される学習促進は、Super observation群では観察されないことを検証する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Enhancement of sense of ownership using virtual and haptic feedback2024

    • 著者名/発表者名
      Samirah Altukhaim, Daniel George, Kirba Nagaratnam, Toshiyuki Kondo, Yoshikatsu Hayashi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 号: 1 ページ: 5140-5140

    • DOI

      10.1038/s41598-024-55162-x

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 運動イメージをリハビリテーションで有効に使うための基礎知識 ―感覚誘導型イメージトレーニングの提案―2023

    • 著者名/発表者名
      内藤栄一
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Rehabilitation

      巻: 32 ページ: 740-750

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 人間パフォーマンス向上プロジェクト:高齢者の脳機能を改善して認知・運動機能を向上させる2023

    • 著者名/発表者名
      内藤栄一
    • 雑誌名

      NICT NEWS 未来ICT特集号

      巻: 1 ページ: 6-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Quantitative measurement of finger usage in stroke hemiplegia using ring-shaped wearable devices2023

    • 著者名/発表者名
      Naoya Yamamoto, Takato Matsumoto, Tamami Sudo, Megumi Miyashita, Toshiyuki Kondo
    • 雑誌名

      Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation

      巻: 20 号: 1 ページ: 73-73

    • DOI

      10.1186/s12984-023-01199-4

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 受動運動下の運動速度が視覚運動学習に及ぼす影響2024

    • 著者名/発表者名
      宮澤瑞生, 須藤珠水, 宮下 恵, 近藤敏之
    • 学会等名
      第36回自律分散システム・シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Plasticity and trainability of human interhemispheric interaction between two precentral hand regions2023

    • 著者名/発表者名
      Eiichi Naito
    • 学会等名
      The 2nd International Symposium on Hyper-Adaptability
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 身体図式再考~脳内身体表現を理解して介入を考える~2023

    • 著者名/発表者名
      内藤栄一
    • 学会等名
      第12回ボバーズ研究会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 人の適応力を伸ばす脳情報通信研究2023

    • 著者名/発表者名
      内藤栄一
    • 学会等名
      第13回CiNetシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脳の身体認知と運動機能発達の新しい視点2023

    • 著者名/発表者名
      内藤栄一
    • 学会等名
      第53回小児神経学セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Hand Velocity in Passive Motor Experience affects Visuomotor Adaptation2023

    • 著者名/発表者名
      Mizuki Miyazawa, Yoshikatsu Hayashi, Tamami Sudo, Megumi Miyashita, Toshiyuki Kondo,
    • 学会等名
      The 45th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBS)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi